写真:左から、HILLS GRACE CLINIC院長・奥謙太郎先生、M&Mスキンケアクリニック副院長&石井クリニック院長・今野みどり先生、座長の青山エルクリニック院長・杉野宏子先生。
アイシンの最新技術による世界最小※1の水粒子「AIR(アイル)」が、シミやシワなどのさまざまな肌悩み改善に効果を発揮しています。レーザー治療や高周波治療との併用でダウンタイムを軽減することも確認されました。この研究成果は、9月1日に開催された第42回日本美容皮膚科学会総会・学術大会で発表されました。
※1水粒子の大きさ
国内外論文及び特許の調査結果 〈2024年7月26日現在アイシン調べ〉
自動車部品総合メーカーの株式会社アイシン(本社:愛知県刈谷市、以下、アイシン)が開発した世界最小※1の水粒子「AIR(アイル)」は、「水で肌を施術する」ことを可能にした画期的な技術で、クリニックでの治療に用いられています。9月1日(日)に開催された「第42回日本美容皮膚科学会総会・学術大会」の共催セミナーでは、その研究成果や効果について専門医から語られました。
微細水粒子AIR(アイル)研究成果1
レーザー・高周波治療後のダウンタイムを軽減
HILLS GRACE CLINICの奥謙太郎院長は、微細水粒子「AIR(アイル)」をレーザー・高周波治療の後に適用することで、治療後の紅斑を早期消退させる効果があること、肌の保湿が持続し、回復が高まる可能性があることを臨床試験で明らかにしました。レーザー治療・高周波治療はシミだけでなくシワ、リフトアップ、くすみ、ニキビ跡など幅広い治療に用いるため、ダウンタイムの軽減により患者の負担を減らせることは医師患者双方にとても重要で、また、副反応やデメリットを考慮せずに使用できる「AIR」のメリットは大きいと奥院長は説明します。
光の中の特定の波長=レーザー、水の中の特定の水粒子=AIR(アイル)
AIRについて奥院長は、「この水粒子は、レーザーと同じ考え方で説明できるのではないかと考えます。レーザーは、皮膚内の標的に応じて光の中から特定の波長の光を人工的に作り出して増幅させた『特殊な光』です。これと同じで、微細水粒子『AIR(アイル)』は、様々な大きさの水粒子の中から約1.4nmの水粒子のみを抜き出した『特殊な水』ですので、『光の世界におけるレーザーと水の世界におけるAIRは同じ立ち位置にある』ということです。AIRの持つ“皮膚の間隙より小さい、構造が安定している、さらに無帯電で肌に触れた時に帯電する”という特徴が、長時間持続する保湿や薬剤導入に働きながらも、刺激や副反応がほぼないということを可能にしているのだと思っています」と話します。
アフターケアだけでなくプレトリートメントとしての可能性も
今後については、「今回は、レーザーおよび高周波治療の後にAIR(アイル)を適用しましたが、治療前にプレトリートメントとして使用することで、治療の効果の増強やダウンタイムの短縮ができるかという点も確かめていきたいと思います。患者さまの負担を減らせるAIR(アイル)は、クリニックで今までにない治療ができる可能性を秘めているのではないかと考えています」(奥院長)。
症例1
症例2
上下ともに:機器治療後、半顔だけにAIR(アイル)を20分適用し、前後にヘモグロビン強調画像を撮り検証した。上の症例写真は、右側(向かって左/囲み内)の赤みがより減少、下の写真は、左側の赤み(向かって右/囲み内)がより減少しており、どちらも赤みがより減少したほうがAIR(アイル)を適用した側だった(画像提供:奥謙太郎院長)。
研究デザイン
15名の患者を対象に、マイクロニードル RFもしくはピコ秒アレクサンドライトレーザーを照射後、全顔にフェイシャルパックを行い、半顔のみ微細水粒子「AIR(アイル)」を20分間適用。「AIR」適用側はランダムに割り付け。機器治療前後とフェイシャルパック後、ヘモグロビン強調画像を撮影し、独立評価者が「AIR」適応前後のヘモグロビン強調画像を比較しAIR適応側を正しく同定できるかを検証した。「AIR(アイル)」適用側が正しく同定されたのは15症例中13症例(86.7%)であった。
HILLS GRACE CLINIC院長 奥謙太郎先生
Fellow of The American Society for Laser Medicine and Surgery (ASLMS)
福島県立医科大学卒業。同皮膚科学講座を経て、2015年あざみ野ヒルズスキンクリニックを開院、2022年に医療法人社団光悠会HILLS GRACE CLINICとしてリニューアルし院長・理事長に就任。レーザー最大手サイノシュアー社における日本人で唯一のアドバイザリーボードメンバーとして、国内外の医師へのトレーニングを行うと共に、次期レーザーの開発にも携わる。
微細水粒子AIR(アイル)研究成果2
非接触で薬剤導入が可能。シミ、肝斑、たるみなどに効果
M&Mスキンケアクリニック副院長も務める石井クリニックの今野みどり院長は、 両クリニックでシミ、たるみ、シワなどさまざまな肌悩みに、微細水粒子「AIR(アイル)」での導入治療を行っています。30名の患者を対象に行った臨床試験では、トランサミン+中性ビタミン C 群で、15 名中 13 名でシミの改善効果が得られ、10 名にシワの改善、6 名にたるみの改善、11 名に肌のトーンの改善、8 名に赤みの改善が見られました。脂肪幹細胞培養上清液群では、15 名中 10 名にシミの改善れ、12 名にシワの改善、11 名にたるみの改善、14 名に肌のトーンの改善、6 名に赤みの改善が見られました。
特に肝斑コントロールやバリア機能が低下した肌に有効
「エレクトロポレーションとの比較試験でほぼ変わらない導入効果が出たのには驚きました。シミにはトラネキサム酸+中性ビタミン C、たるみやシワ、顔全体のエイジングケアには幹細胞培養上清液をAIR(アイル)で導入しています。肌に触れることなく薬剤を導入できること、刺激がないこと、肌の水分量が上がることがAIR(アイル)の特徴です。クリニックを受診される患者さんの多くは、肌の摩擦で悪化する肝斑とシミ(老人性色素斑)が混在している場合が多いので特に有効と考えます」と今野院長は話します。皮膚に刺激を与えることなく薬剤を導入できるので、導入する薬剤を選ぶことで、アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎の患者さんにも適用可能です。
医師所見評価
研究デザイン
トラネキサム酸+中性ビタミン C 、脂肪幹細胞培養上清液の2種類の導入剤を使用する30名(各 15 名)を対象に、2 週間ごとに計4 回、クリニックで洗顔後に導入剤を塗布し、20 分間微細水粒子「AIR(アイル)」を適用。シミ、シワ、たるみ、肌のトーン、赤みの項目について施術前、4 回施術後、2週間後に写真撮影し、施術前を基準ゼロとし改善と悪化を10段階で判定しました。*試験期間中はピーリングやアイペールでレーザーなどの施術は行わず、試験前より内服している薬があればそのまま継続。自宅でのスキンケアも以前と同じものを使用。
微細水粒子AIR(アイル)研究成果3
フォトフェイシャル(光治療)の効果を持続させ、ダウンタイムも軽減
AIR(アイル)の使用により赤みの改善や炎症抑制などが見られたため、ダウンタイムや痛みの軽減作用をフォトフェイシャルとの併用試験で検証しました。対象はシミ治療を全く受けたことのない女性 6 名で、フォトフェイシャルを1ヶ月ごとに5回、AIR(アイル)適用を顔の右側だけに週1回、計17回行い、全施術終了から 4 週間後までの経過を追いました。
治療中の肌ダメージの改善にも効果的
「AIR(アイル)を浴びていない左側は治療終了の4週間後には、肌の赤みが出たり、シミが戻ってきてしまう人が多く、AIR(アイル)を併用することでシミを含めた肌の色調の改善が長時間続く、つまりフォトフェイシャルのシミ治療効果を高めて持続させる作用があると考えます。また対象者全員がAIR(アイル)を浴びたほうが乾燥感が少なく感触も異なると回答しており、ダウンタイムの軽減や肌状態の改善にも役立つと思います」と今野院長は話します。
AIR(アイル)適用あり
AIR(アイル)適用なし
52歳、女性。施術前の写真では老人性色素斑、脂漏性角化症、肝斑と肌の赤みが目立つ。左がAIR(アイル)ありの写真で、施術終了後2週間目はシミが薄くなり、肌のトーンと赤みが改善している。4週間後も状態に明らかな変化はない。右のAIR(アイル)なしのサイドは、2週間後に肌状態の改善はピークを迎え、4週間後には肌の赤みが出て、シミの色調も戻ってきた(画像提供:今野みどり院長)。
研究デザイン
シミ治療未経験の女性 6 名を対象に、フォトフェイシャル(フォトフェイシャルステラ22)を1ヶ月ごとに5回行い、AIR(アイル)適用を顔の右側だけに週1回、計17回行った。肌解析機ネオヴォワールを用い、治療前、治療後、5回目のフォトフェイシャル終了2週間後、4 週間後で撮影・解析。全例でシミの改善効果が得られたが、6名中4名はAIR(アイル)を浴びた右側だけ、肌のトーン改善効果が4 週後も認められた。
石井クリニック院長/M&Mスキンケアクリニック副院長 今野みどり先生
形成外科専門医。皮膚腫瘍外科指導専門医。医学博士。川崎医科大学卒業。東京慈恵会医科大学形成外科助手、山形県立日本海病院形成外科医長を経て、2001年M&M スキンケアクリニック副院長に。2014年には日本で最初の美容皮膚科である石井クリニックの院長に着任。患者が抱えるそれぞれの肌悩みに合わせた処方と心に寄り添う治療に定評がある。
世界最小※1の微細水粒子AIR(アイル)のメカニズムと特徴
AIR(アイル)は、約 1.4nm(ナノメートル)サイズの水粒子。スチームの約 1/600、ウルトラファインバブルや帯電微粒子イオンよりも小さく、電荷を帯びず、極性を持たず、生体に作用しやすく、水粒子の構造が安定していることが最大の特徴です。
生体との相性が良く、美容・理容・医療・ヘルスケア・バイオ・食品・工業など、生活のさまざまな場面で活用できる可能性を秘めています。
※1水粒子の大きさ
※2水粒子返還技術を応用した「非接触型導入美容機器」
国内外論文及び特許の調査結果 〈2024年7月19日現在アイシン調べ〉
※3角層まで
※ 本稿は2024年9月27日にPRTIMESにて公開された記事、クリニックのシミ・シワ治療で話題の微細水粒子「AIR(アイル)」。レーザー治療や光治療との併用で効果を発揮する理由とは?を再編したものです。