朝、ベッドから起き上がった瞬間にクラクラする、立ち上がると動悸がして息苦しくなる——こうした症状が頻繁に起こっていませんか?
その症状は、もしかすると「体位性頻脈症候群(POTS)」かもしれません。
とくに若い女性に多いこの疾患について、原因から対処法までをわかりやすく解説します。
体位性頻脈症候群(POTS)とは?

体位性頻脈症候群(POTS)は、横になった姿勢から立ち上がったときに心拍数が異常に上昇し、立ちくらみ、めまい、ふらつきが起こる疾患です。
人間のからだには起立に伴う血圧や心拍数の変化に適応する仕組みが備わっていますが、体位性頻脈症候群(POTS)ではそのメカニズムが正常に機能しなくなります。
まずは、体位性頻脈症候群(POTS)の原因と特徴についてみていきましょう。
体位性頻脈症候群(POTS)の原因
体位性頻脈症候群(POTS)の原因は、現代の医学で完全に解明はされていません。しかし、複数の要因が関連していると考えられています。
たとえば、起立時の体位変化に自律神経が適切に反応できず、血液循環の調整がうまくいかなくなり、体位性頻脈症候群(POTS)が起こることがあります。これは、循環血液量が低下しているケースです。
また、交感神経系の過剰活動、末梢の神経の障害、免疫システムの異常なども原因として挙げられます。
12歳~50歳の女性に多いとされる
体位性頻脈症候群(POTS)は男女全世代で発症する可能性がありますが、とくに発症が多くみられるのが女性で、患者全体の8割にも及びます(※1)。
症状があらわれるのは、性成熟期から閉経前までの12歳から50歳の女性で、若い女性の患者が多い特徴があります。
生理中にはホルモン変動や鉄分不足で立ちくらみやめまいなどが起こりますが、「生理由来の不調かと思っていたらじつは体位性頻脈症候群(POTS)だった」という場合もあるので要注意です。
よくある症状と悪化しやすいタイミング

続いては、体位性頻脈症候群(POTS)の具体的な症状、そして症状が悪化しやすいタイミングについて解説します。
体位性頻脈症候群(POTS)の症状
体位性頻脈症候群(POTS)の代表的な症状は急な立ちくらみやめまいですが、視界のぼやけや、意識が遠のくような感覚を覚える場合もあります。
また、心臓の鼓動を速く感じたり、呼吸が苦しくなったりという症状も。脱力感、手足の冷たさ、からだの揺れや震えを感じることもあります。
消化器官の症状も特徴で、吐き気や胃痛、腹部の膨張感のほか、便秘や下痢などで胃腸障害があらわれることも珍しくありません。
そのほかには、頭痛やブレインフォグと呼ばれる集中力や思考力の低下が起こる例も報告されています。
症状が悪化しやすいタイミング
体位性頻脈症候群(POTS)は、急に立ち上がったときや、食事の直後、アルコール摂取後や脱水症状にある場合など、生活習慣からも影響を受けます。
また、身体的や精神的ストレスを受けたときにも症状が出やすくなります。
午前中に症状があらわれ、時間経過とともに改善していく傾向があり、また、気温が極端に高い日や低い日など、気温や気圧の変化が大きい時期は症状が強くあらわれる特徴も。
月経周期に関連して症状が悪化する例も多く、生理前後や排卵期に症状が強くなります。
体位性頻脈症候群(POTS)の治療法

体位性頻脈症候群(POTS)は、一般的にはまだ認知度が低い病気です。慢性的な症状や、おかしいと感じる症状があるなら、「気のせい」と思い込む前に、まずは医療機関できちんと診断してもらうことが大切です。
専門家に診てもらったうえで、セルフケアを行うと症状を軽減できる場合があります。以下のセルフケアを参考にしてください。
水分・塩分を摂る
体位性頻脈症候群(POTS)は、十分な水分と塩分を摂取することが大切です。1日2~3リットルの水分摂取と、1日10グラム程度の塩分を摂取しましょう。
からだ全体の血液量を増加させることで、立位時の血圧低下を緩和し、心拍数の異常な上昇を抑制します。
日本人の一般的な食事は塩分が多いといわれているため、過剰摂取しないように気をつけ、医師と相談しながら調整しましょう。
着圧ウエアを活用する
下肢や腹部に適切な着圧をかけることは、血流の循環を改善する効果が期待されます。
日常生活で着圧ウエアを着用することで、起立時に血液が下肢に貯留するのを防ぎ、脳と心臓への血液供給を改善できます。
その結果、めまいやふらつきといった症状を和らげることができるのです。
寝たままできる運動をする
体位性頻脈症候群(POTS)に悩まされている場合、立ったまま運動すると症状が悪化してしまうため、横になった状態や半身を起こした状態で運動しましょう。
寝たまま行えるひざ擦り体操をご紹介します。
1. 寝た状態で両ひざを立てる
2. ふくらはぎでひざ小僧を軽く擦る
3. 右と左、両方行う
無理をせず、軽めの有酸素運動を30分程度行うのがおすすめです。負担がかからないように気をつけましょう。
漢方薬を服用する
体位性頻脈症候群(POTS)には、漢方薬の服用もおすすめです。漢方薬は、乱れた体質のバランスを整えることで症状の改善をめざします。
漢方薬は植物や鉱物を元に自然由来の生薬で構成されていて、一般的に西洋薬より副作用リスクが低いといわれます。毎日飲むだけで気軽に続けられるので負担も少ない点も特徴です。
体位性頻脈症候群(POTS)には、
「自律神経のバランスを整える」
「水分代謝を整える」
「消化・吸収機能を改善して、内側から心とからだを元気にする」
といった作用がある生薬を含む漢方薬を使用しましょう。
<体位性頻脈症候群(POTS)におすすめの漢方薬>
五苓散(ごれいさん)
余分な水分を排出して、めまいや頭重を改善します。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
気力(エネルギー)を充実させ、疲労・倦怠感を改善します。
漢方薬は体質との相性が大切です。体質と合っていない漢方薬を使っても、本来期待できる効果は得られないかもしれません。医師や薬剤師に相談のうえ、体質に合った漢方薬を提案してもらいましょう。
「もう少し手軽に漢方薬を使いたい」という方には、オンライン漢方薬サービスの「あんしん漢方」がおすすめ。
あんしん漢方は、体質診断、漢方薬の提案、アフターフォローまで漢方の専門家が対応してくれます。通院時間をとれない方や、感染症対策が気になる方にもおすすめです。
異常を感じるならまずは医療機関を受診
体位性頻脈症候群(POTS)は、起立した際に立ちくらみやめまいが起こる病気で、若い女性を中心に発症しやすく、ただの生理の不調と思い込んでしまいがちです。
慢性的な症状があるならまずは医療機関を受診したうえで、適切なセルフケアも駆使しながら、生活習慣をしっかりと整えていきましょう。
<参考文献>
(※1)Postural Tachycardia Syndrome (POTS) - PMC | National Institutes of Health (NIH) | (.gov)
<この記事の監修者>

医師
木村 眞樹子(きむらまきこ)
都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科に在勤。総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医。産業医として企業の健康経営にも携わる。
自身の妊娠・出産、産業医の経験を経て、予防医学・未病の重要さと東洋医学に着目し、臨床の場でも西洋薬のメリットを生かしながら漢方の処方を行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=211231g6sdf10095&utm_source=shindere&utm_medium=referral&utm_campaign=260113
<漢方監修>

木村 英子(きむらえいこ)
あんしん漢方薬剤師
北里大学薬学部・東京大学大学院医学系研究科卒。臨床検査技師。
厚生労働省検疫所・病院にて公衆衛生・感染症現場を経て、インドアーユルヴェーダの権威ミーナクシ・アフジャ博士に師事。
対症療法ではなく体質を根本改善することの重要さを痛感し、西洋医学をベースに東洋医学からのアプローチを取り入れ、アロマやハーブを活用した情報発信を行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行っている。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=211231g6sdf10095&utm_source=shindere&utm_medium=referral&utm_campaign=260113
