明野の大地が、2年目で金賞をつかんだ。1917年創業・サドヤが新農場に賭けた、産地から始まる日本ワインの新章。

2026.08.10

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農場を取得してから、まだ2年しか経っていなかった。
2026年、日本ワインコンクールの欧州系品種白部門に輝いたのは、山梨県北杜市明野の地で育てたシャルドネから生まれた「Liel 明野シャルドネ 2025」——1917年創業、甲府に根を張り続けてきたサドヤが、新たな農場に賭けた一本でした。
欧州系品種比率9割以上という珍しい姿勢を貫き、日本ワインの黎明期からワイン造りに向き合ってきたサドヤが、なぜ今、新農場の取得に踏み切ったのか。そして標高約700m近くの明野という土地は、シャルドネに何をもたらしたのか——その答えを紐解いていきます。

圧倒的な透明感をまとう大地の恵みと、洗練されたスタイルが息づく北杜市明野の新しい物語。バックグラウンドに美しい色を宿すプレミアムなワイン造りの舞台裏へと、あなたを誘います。

甲府の老舗が、北杜市明野へ。農場取得という選択に至るまで

サドヤが北杜市明野に新農場「サドヤ農場明野」を取得したのは2024年1月のことです。しかしこの決断は、突然生まれたわけではありませんでした。

「明野農場のぶどうは、農場取得以前から一部を仕入れていたため、明野という土地と、そこで育つぶどうの良さは以前から認識していました」

——その一方で、原料ぶどうの確保は年々難しくなっていく現実もありました。品質を安定させ、これから先も一貫したワイン造りを続けていくために、サドヤは自社で栽培管理まで担う直営農場を持つという選択を下します。

カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、シラー、ピノ・ノワールといった欧州系品種は本来、冷涼な産地を好みます。甲府のサドヤ農場は現在も欧州系品種にとって大切な栽培拠点であり、その土地に適した品種を育てている一方で、サドヤは標高約700m近くという冷涼な気候条件を持つ明野を選びました。明野農場の取得は、原料確保という現実的な課題への答えであると同時に、産地から品質を高めていくための一歩でもありました。

新樽比率75%、1,187本。「畑からボトルまで」を一貫する哲学が生んだ金賞

「自社農場で栽培することで、生育状況や収穫時期について、栽培スタッフと醸造スタッフが情報を共有できます」

——この一文に、Lielシリーズの本質が凝縮されています。

農場取得以前にも明野のシャルドネを仕入れていたサドヤは、その個性と可能性を感じながらも、栽培管理に直接関与することには限界がありました。農場取得後、はじめて「その年のぶどうの状態を確認し、特徴に合わせて醸造方法を判断する」という一貫生産が実現します。

「Liel 明野シャルドネ 2025」は、明野産シャルドネの果実味と酸のバランスを生かし、樽熟成によって奥行きのある味わいに仕上げた一本。小ロットでの仕込みとなったことで新樽比率を75%まで高めることができ、果実味と樽由来の風味の調和が生まれました。その結果として生まれた生産本数1,187本という数字は、明野産シャルドネの個性を丁寧に表現する仕込みの証でもあります。農場取得からわずか2年目に収穫したぶどうがコンクールの金賞に輝いたという事実は、産地の可能性と一貫生産の力を同時に証明するものでした。

甲府駅から徒歩5分、700坪の地下セラーへ。ワイン・食事・結婚式が交わる「サドヤ」という場所

1917年の創業以来、サドヤが甲府駅北口から徒歩5分という市街地に拠点を構え続けてきたのには、歴史的な経緯があります。国の殖産興業政策を背景に、山梨県でも葡萄・葡萄酒生産の振興が進められた時代、経営難に陥った民間ワイナリーの工場跡地を取得したことがその始まりでした。

約2,200坪の敷地のうち地下貯蔵施設だけで約700坪という広大な規模は、「甲府駅前にこんな場所が」と訪れた人を驚かせます。地下見学ツアーをはじめ、ワインブティック、そして同じ敷地内でグループ会社が運営するレストラン「レアル・ドール」、結婚式場「サドヤ シャトー・ド・プロヴァンス」が共存するこの場所は、山奥のワイナリーとは一線を画す「ワインリゾート」として設計されています。

収穫にはワイナリーのスタッフだけでなく、レストランや結婚式場のグループスタッフも参加します。実際に畑に入り、ぶどうに触れることで、ワインがどう造られているかをグループ全体で共有する——レストランでの料理提案や、結婚式でのワインの背景を伝えることへと、その経験はつながっていきます。「サドヤのワインを支え、伝えてくれているグループの皆さんの力があってこその受賞」という言葉に、この場所が持つ一体感の深さが滲んでいます。

「毎年異なる気候やぶどうの状態を見極め、その年と土地に合った栽培管理と醸造を積み重ねていくこと」——サドヤが語る「日本の風土に適したワイン造り」の定義は、シンプルでありながら、深い覚悟を宿しています。

明野農場では今も、シャルドネをはじめとする7品種の欧州系品種が育ち続けています。年ごとの記録を積み重ね、品種ごとの個性を土地の言葉として翻訳していく長い旅は、まだ始まったばかりです。

甲府の地下セラーへ。長い歴史が醸した空間で、明野の大地が生んだ一杯と出会いに来てみませんか。

■ 施設情報

  • 施設名: サドヤワイナリー(株式会社サドヤ)
  • 所在地: 山梨県甲府市北口3-3-24
  • アクセス: JR甲府駅北口より徒歩約5分
  • 公式サイト: https://www.sadoya.co.jp/
  • 商品詳細・ご購入: https://sadoya-wine.com/fs/sadoya/Liel/gd368
  • 地下セラー見学: 要予約
  • レストラン: レアル・ドール
  • 結婚式場: サドヤ シャトー・ド・プロヴァンス

この記事を書いた人

山田 花子

Cinderella Fit 編集部

美容メディア シンデレラフィット

「美容従事者すべてにリスペクトを」頑張る女性にスポットを当て、人と人を繋いで行きます。

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