「滝のように汗が出てしまう」「何度拭いても止まらない」といった不快な汗の悩みはありませんか?
必要以上に出るたくさんの汗は、見た目の問題だけでなく、ストレスや生活の質の低下にもつながります。制汗スプレーや汗拭きシートを使っても一時しのぎにしかなりません。
「もっと根本的に改善したい」という場合におすすめなのが、からだの内側にアプローチできる漢方薬という選択肢です。
そこで今回は、「あんしん漢方」の薬剤師、清水みゆきさんに多汗対策に役立つ漢方薬について詳しく教えてもらいました。
汗には2つのタイプがある
「汗っかき」とひとことで言っても、その原因は人それぞれです。
実は、汗には大きく分けて2つのタイプがあるのをご存じでしょうか?
まずは自分の汗がどのタイプなのかを知ることが適切な対策につながります。
温熱性発汗
高温多湿の場所にいたり運動をしたりして、平熱よりも体温が上がったときに出る汗を温熱性発汗といいます。
これは、汗をかいてからだの熱を外に逃がし、体温を一定に保つための自然な働きです。
このタイプの汗は、手のひらと足の裏を除く全身から持続的に出るのが特徴的です。
精神性発汗
体温調節とは関係なく、緊張や不安、ストレスを感じた場合などに出る汗は精神性発汗と呼ばれます。
ストレスを感じると、発汗をコントロールする交感神経の働きが活発になるため、汗が出やすくなるのです。
このタイプの汗は、手のひらや脇の下、足の裏、顔などの限られた部位に短時間で汗をかくのが特徴的です。
「冷汗が出る」「手に汗握る」といった表現は、この精神性発汗の状態をよくあらわしています。
温熱性発汗も精神性発汗も、もともとからだに備わっている自然な働きです。
しかし、「明らかに人よりたくさん汗をかく」「滝のように汗が止まらない」といった不快な状態が続き、日常生活に支障が出るような場合は、適切なケアで改善を目指しましょう。
漢方薬で汗対策はできる?
漢方薬は、汗を直接ピタッと止めるものではありませんが、汗をかきすぎる原因そのものに、からだの内側からアプローチできるのが強みです。
とくに、漢方薬は自律神経の乱れを整えることを得意としているため、緊張やストレス、不安などによる精神性発汗の根本改善が期待できます。
また、体内の水分バランスの乱れや汗を調節する力の低下が生じている場合にも、無理なく整えることで過剰な汗の改善につながると考えられています。
プロが教える!汗対策におすすめの漢方薬
止まらない汗の悩みに役立つ代表的な漢方薬を3つご紹介します。いずれも、汗の原因や体質に合わせて使われる代表的な処方で、多汗の改善に役立ちます。
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
防已黄耆湯は、医薬品として「多汗症」に効果が認められている漢方薬です。
発汗異常につながる体内の乱れた水分バランスを整える働きがあります。
以下のような人におすすめです。
・疲れやすい
・むくみやすい
・水太り
こうしたむくみや水太りのほか、肥満に伴う関節の腫れや痛みなどにも効果的です。
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
柴胡桂枝乾姜湯は、医薬品として「ねあせ」「頭部の発汗」に効果が認められている漢方薬です。
乱れた「気(き)」(エネルギー)のバランスを整え、からだを温め潤いを補う働きがあります。
以下のような人におすすめです。
・疲れやすい
・冷え性
・不安感が強い、神経過敏
ほかにも、動悸や不眠、更年期障害などが気になる場合にも使われます。
四逆散(しぎゃくさん)
四逆散は、ストレスによる精神性発汗に効果が期待できる漢方薬です。
「気」の巡りを整えて、交感神経が優位になっている状態を落ち着かせる働きがあります。
以下のような人におすすめです。
・比較的体力がある
・イライラが強い
・ストレスや精神的な緊張で胃やおなかが痛む
このほか、不安や不眠、神経症などのお悩みにも効果が期待できます。
漢方薬を選ぶときはプロの知識を借りよう
漢方薬を選ぶときに重要なのは、その人の状態や体質に合っているかどうかです。合わない漢方薬を使うと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。
「漢方薬って選び方が難しそう」と感じる方には、専門家の力を借りるのがおすすめです。たとえば、漢方に詳しい薬剤師がAIを活用し、お手頃価格であなたに合った漢方薬を見極めて自宅に郵送してくれる「あんしん漢方(オンライン個別相談)」などのオンライン漢方サービスもあります。
スマホだけで手続きが完結するので、「対面では汗の悩みを話しにくい」という方にもぴったりです。
汗の悩みを根本から解決しよう
暑い夏は汗をかくのがあたり前ですが、「汗が止まらず人目が気になる」と不快な汗に悩んでいませんか?そんなときは、ひとりで抱え込まず、専門家に相談してみるのがおすすめです。
制汗グッズなどで外側から対策するだけでなく、漢方薬でからだの内側から整えることで根本改善が期待できます。自分に合ったやさしい方法で、今年の夏をもっと快適に過ごしていきましょう。
<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師
清水みゆき
漢方薬・生薬認定薬剤師、JAMHA認定ハーバルセラピスト。製薬企業の研究所員を経て、漢方調剤薬局に8年間勤務。漢方薬の服薬指導、食事や養生法での健康づくりのサポート、ハーブティーやアロマの相談販売に従事。
現在も漢方調剤薬局で薬剤師として在勤しながら「ママのためのやさしい漢方」のサイト運営や漢方やハーブの通信講座やセミナー講師としても活動中。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行っている。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=211231g6sdf10053&utm_source=shindere&utm_medium=referral&utm_campaign=250729