100点満点中、98点と99点。
世界で最も格式あるスピリッツ品評会のひとつ、英国・IWSCと、世界最大規模を誇る米国・SFWSCという2大コンペティションにおいて最高金賞をW受賞したのは、名門酒蔵でも、老舗リキュールブランドでもありませんでした。
和歌山県みなべ町に根を張り、4世代・創業85年にわたり紀州南高梅を育て、漬けてきた梅干しのメーカー——「熊平の梅」こと、井上梅干食品株式会社が手がけるクラフトリキュール『梅酒 Kumahei』が、世界の審査員たちを唸らせた一杯の正体です。
「桜や鮮やかな花々を思わせる華やかな香り」「アーモンドのような種由来の繊細なコク」「甘くみずみずしいアンズのような余韻」——IWSCの審査員がそう描写したこの梅酒に込められた哲学を、代表の花村数夫氏に伺いました。
梅干しメーカーが、梅酒に挑んだ理由

「昨今の贈答文化の衰退や、若者の梅干し離れ、海外製品のクオリティ向上によって、自社の売り上げだけでなく、紀州南高梅産業そのものの衰退を危惧していました」と、花村代表は静かに語ります。
85年間培ってきた梅への知識と愛着を、新たな形で世界に届けたい。その一心で創業80年目にして酒造免許の取得に踏み切り、試作を重ねること3年、100種類以上。砂糖の種類、酒の銘柄、梅の完熟度合い、それぞれの割合——あらゆる組み合わせを試し尽くした末に辿り着いた答えは、驚くほどシンプルなものでした。
「その中で一番美味しかったのが、昔から地域の家々で作られているような、シンプルな素材と製法でした」。梅干しのプロが本気で向き合ったからこそ、足し算ではなく、引き算の美学に辿り着けたのかもしれません。
「アルコール・氷砂糖・梅」だけ。極限のシンプルさが生む、紀州南高梅の底力

『梅酒 Kumahei』の原材料は、「醸造用アルコール・氷砂糖・南高梅」のたった3種類のみ。添加物も香料も一切使わず、梅そのものの香りと味だけで世界最高峰の審査員を唸らせたこの一杯には、素材への圧倒的な自信と覚悟が宿っています。
使用する梅は、3Lサイズ以上の大玉に限定。自社農園で丹精込めて育てた紀州南高梅だけを、熟度を厳しく見極めたうえで漬け込む。大量生産のためにさまざまな農家から梅を仕入れるのではなく、自社農園100%にこだわるからこそ、梅の個性を一切妥協なく引き出せる。
「弊社の梅酒の素材は南高梅・氷砂糖・醸造アルコール(無味無臭)とシンプルです。つまりこの味はほとんど、紀州南高梅そのものから出たエキスによるものです」と花村代表。世界の審査員が絶賛したあの香りと余韻は、農家としての85年が育てた、土地と時間の結晶に他なりません。
世界が認めた評価を、紀州南高梅の価値へ

受賞の報を受けたときの率直な気持ちを聞くと、花村代表はこう答えてくれました。「正直に言うと、私自身はIWSCの審査員の方々が感じ取られたような種由来のコクやアンズのような余韻を、自分では感じられなかったんです。やはり審査員の方々の味覚はすごいと思いますし、自分が美味しいと思っていたものを世界の舞台で評価していただけたことが、何よりうれしかった」。
しかしその謙虚な言葉の奥には、揺るぎない信念があります。「弊社のコンセプトは『香りに酔う』梅酒です。その香りを高く評価していただいたことが、自信になりました」。
今回のW受賞を機に、これまで足を踏み入れたことのない国々への販路開拓を目指すという「熊平の梅」。梅酒という一杯を通じて、紀州南高梅という日本の農の底力を、静かに、しかし力強く、世界へと伝え続けていきます。
「美味しかったのは、シンプルな素材と製法でした」——その言葉に、すべてが詰まっています。
ブランドでも設備でも技術でもなく、4世代にわたる梅への眼差しと、自社農園が育てた素材の力だけで世界を制した「熊平の梅」の物語は、本物はいつもシンプルだという、普遍的な真実を静かに教えてくれます。
グラスに注いだ瞬間に広がる、桜と花を思わせる香り。その一口が、和歌山みなべの澄んだ空気と、85年分の梅づくりの時間を、あなたの日常へとそっと連れてきてくれるはずです。
ブランド名: 熊平の梅(井上梅干食品株式会社)
所在地: 和歌山県日高郡みなべ町山内1095-1
公式サイト: https://kumaheinoume.co.jp/
商品名: 梅酒 Kumahei
参考小売価格: 3,300円(税込)/720ml
購入方法: オンラインストア・一部店舗

