メルキュール京都ステーションは、LGBTQ+コミュニティの多様性・尊厳・権利を称える6月のプライド月間に合わせ、特別なドルチェ「カッサータ アルコバレーノ風」を期間限定で提供しています。この取り組みには、ホテルが目指す「違いを認め合える社会」への深い願いが込められています。今回はメルキュール京都ステーション、 マーケティングスーパーバイザー伊藤光里様にお聞きしました。
多様性を象徴する「カッサータ アルコバレーノ風」
このカラフルなドルチェ「カッサータ アルコバレーノ風」は、単なるデザートに留まらない、強いメッセージを秘めています。伊藤様によると、6月のプライド月間は世界中で多様性への理解を深める重要な時期であり、ホテルもこの機会に行動を起こすことで、より多くの人々が「違いを認め合える社会」について考えるきっかけとなることを願っているといいます。
「多様な色や香り、食感が共存するカッサータは、まさにその象徴となる一皿であり、レストランという日常の中で、多様性を自然に感じ取れるような空気を届けたいという思いから、本ドルチェを企画しました。」
「カッサータ」は、色とりどりのドライフルーツやナッツが練り込まれた華やかなアイスケーキであり、まさに今回の“プライド月間”におけるテーマ「多様性、個性の尊重、共生といった価値観」を象徴するのに最適なドルチェであると考えられ、コースの締めくくりとして採用されました。
使用された4色(赤・オレンジ・緑・青)は、それぞれの色が持つ象徴性に着目しながら、プレート全体で表現されています。例えば、赤はベリーソース、オレンジは点在するソース、緑はミントの葉など、色ごとの要素を一つのケーキに集約するのではなく、あえてプレート上に“散らす”ように配置する手法がとられました。これは、「一体化することだけが正しさではない」「異なる色や形がそのまま存在し、共に調和している」という多様性の本質を視覚的に表したものです。
構成においても、香りや食感の重なりが単調にならないよう留意されています。ミントの爽やかで独特な香り、トロピカルフルーツ由来のソースによる芳香、ベリーの甘みと酸味など、それぞれが個性を持ちつつも、全体として心地よいハーモニーを生むよう設計されています。伊藤様は「こうした一皿を通じて、味覚だけでなく、視覚や嗅覚、触覚においても『違いがあることの美しさ』や『調和の多様なかたち』を感じ取っていただけたら嬉しいです」と語ります。
お客様には、一見普通のドルチェの裏に秘められたホテルの想いを知り、ランチやディナーという日常の中で、プライド月間について触れる機会にしてほしいと伊藤様は続けられます。
旬の味覚を最大限に引き出す「シーズナルコース」
※メニュー開発担当のスーシェフ、神阪 様にお聞きしました。
「TRATTORIA M KYOTO」で提供される「シーズナルコース」は、6月の旬の味覚を最大限に活かすことに重点を置いています。神阪様は「野菜、魚介、フルーツといった食材を中心に、それぞれの持ち味を活かせるよう、すべての皿に季節の食材を取り入れるよう工夫しています」と説明します。例えば、前菜にはルッコラ、スープには枝豆とじゃがいもを使った冷製スープ、パスタにはフレッシュなアジと夏野菜を合わせ、彩りや食感にもこだわっています。メインの肉料理では、さくらんぼをアクセントに使い、甘味と酸味で深みを演出。ドルチェではマンゴーやパッションフルーツのエキゾチックソース、ベリーソースを添えたカッサータが用意され、食後に爽やかな余韻を感じられるよう工夫されています。
特に、アジは捌かれていないフレッシュなものを仕入れ、スタッフが店内で捌くことで、より繊細な味を提供し、スタッフの技術向上にも繋げているといいます。6月は桜やゴールデンウイークの繁忙期が終わり、比較的ゆとりをもって仕込みに取り組める月であるため、こうした丁寧な仕事ができるのもこの時期ならではのこだわりです。前菜に肉を使用することで、お客様の注目度が上がり来店しやすくなるという工夫も、この時期ならではのこだわりだと付け加えます。
ランチとディナーでは異なる体験を提供しています。ランチは『前菜・スープ・パスタ・ドルチェ』の4皿構成で気軽に楽しめる内容、一方ディナーは、そこに『アミューズ・メイン』が加わる6皿構成で、よりゆったりと贅沢な時間を過ごせるよう意識されています。どちらのコースでも、各皿で使うメイン食材のジャンルが被らないようにし、全体のバランスを整えることで、お客様に飽きさせない工夫が凝らされています。ディナーでは、地域に根差したメルキュールホテルのブランドコンセプトを体現する「京鴨」のコンフィなど、地域由来の食材を積極的に取り入れ、食事を通して京都ならではの味覚や価値観に触れてもらえる体験を提供しています。海外からのお客様も多くお越しになるため、こうした地域性のある食材を盛り込むことで、日本・京都ならではの味覚や価値観に触れていただける機会を創出しています。ランチ、ディナーともに、それぞれの特性を活かしつつ、「京都でしか味わえない」一皿を届けることを大切にしていると締めくくりました。
「平安京、貴族の遊び」が息づく空間
メルキュール京都ステーションのデザインコンセプト「平安京、貴族の遊び」は、ロビー、ラウンジ、レストラン、客室のいたるところに反映されていますが、特に色濃いのは地下のラウンジスペースだと伊藤様は説明します。このラウンジは、平安時代に全盛期を迎えた「雅楽」をよりニッチなコンセプトとし、そのもとで「雅楽楽器のオブジェ」、「平安モチーフ」、「玩具」、「装飾用文学書」、「装飾用和綴じ本」、「読む本」の6つのテーマを融合し、心に残る魅力的なライブラリー空間を演出しています。テーブルは「鼓」、椅子は「お琴」をモチーフとし、平安時代に流行した「墨流し」をイメージした大きなアートワークが壁一面に広がります。日本の伝統や文化、現代美術、海外でも人気の漫画など、幅広いジャンルの本が揃い、コンセントも完備されたワークスペースとしても活用可能なマルチソーシャルラウンジとなっています。
ホテルがある場所がかつての平安京の一部であったことから、「平安京・貴族の遊び」というデザインコンセプトは、メルキュールの「地域のインスピレーションを大切にするホテル」というブランドコンセプトにまさに沿ったものだと伊藤様は語ります。レストラン「TRATTORIA M KYOTO」では、京都南丹市のお米や丹波地鶏、京都産の野菜などを使用し、ゲストに気軽に京都の食文化を体験してもらえるよう努めています。さらに、カフェタイムのアフタヌーンティーでは、湯葉や西京味噌、抹茶など京都らしい和の食材を積極的に取り入れ、好評を博しているとのことです。
アコーグループとしての多様性への取り組み
アコーグループは、国際LGBTQ+旅行協会(IGLTA)のプラチナレベルパートナーであり、旅行業界における平等を促進・推進に取り組んでいます。年間400万人以上のLGBTQ+のお客様を迎えており、IGLTAと協力してホスピタリティ産業がすべての人にとって安全で包括的な空間となるよう努めています。国内のアコーホテルズでは、大阪難波の「スイスホテル南海大阪」がアジア初、アコーグループとして世界初のIGLTA認定ホテルとして承認されるなど、グループ全体で多様性への理解を深める活動を行っています。メルキュールブランドとして独自の方針はないものの、国内のメルキュールホテル各々が6月のプライド月間に合わせたレインボーカクテルを提供するなど、様々なアプローチを行っています。
メルキュール京都ステーションでは、多様性の観点から既に、様々なバックグラウンドを持つお客様のニーズに応えられるよう、ベジタリアン・ヴィーガン対応メニューを朝食からランチ、ディナーのすべての時間帯で豊富に用意しています。また、ホテル内には外国籍のスタッフも多く在籍しており、それぞれの個性を尊重し、安心して働ける環境づくりにも取り組んでいます。担当者は、今後もアコーホテルズの一員としてLGBTQ+の方々への理解を深め、多様性が当たり前の社会づくりに貢献できる存在になりたいと語ります。
「違いを認め合える社会」への願い
今回のプライド月間ドルチェの提供を通して、担当者が最も伝えたいメッセージは、「周囲と異なること」や「多様であること」が当たり前に受け入れられる社会の実現を願う気持ちです。
「“プライド月間”や“プライドマンス”という言葉は、近年ようやく社会の中で耳にする機会が増え、少しずつ認知が広がりつつありますが、単なる言葉の浸透にとどまらず、その背景にある『多様性を尊重する心』や『違いを否定しない文化』が、日常の中に自然に根づいていくことが何よりも大切だと感じています。私たちが提供する一皿のデザートを通して、そのような価値観の一端に触れていただき、誰もが自分らしくあることを肯定される空気を、レストランという空間の中で少しでも感じていただけたら嬉しいです。」
メルキュール京都ステーションは、食と空間を通じて、多様性を認め合い、誰もが自分らしく輝ける社会の実現に貢献していくことを目指しています。
メルキュール京都ステーションについて
メルキュール京都ステーション外観
フランスを本拠地とするホスピタリティグループ「アコー」が展開する「メルキュール」は、『ローカル インスパイア―ド ホテル(地域のインスピレーションを大切にするホテル)』をブランドコンセプトとして、全世界に展開しています。
メルキュール京都ステーションのデザインコンセプトは、「平安京、貴族の遊び」。ホテルに一歩足を踏み入れた瞬間に、貴族たちが時を忘れて遊びに耽った時代の華やかで雅な雰囲気に包まれるような、時代を超えた旅をお楽しみいただけることでしょう 。
【施設概要】
施設名称: メルキュール京都ステーション(Mercure Kyoto Station)
開業日: 2020年9月16日
所在地: 京都府京都市下京区油小路町288
ホームページ:https://www.mercure-kyoto-station.com/ja/
電話番号:075-343-5533
E-MAIL:HB4F4-RE1@accor.com
構造:地下1階~地上10階
フロア構成:地下1階(ラウンジ)、1階(レセプション・ロビー・レストラン)、2階〜10階(客室)
客室数:225室
インスタグラム:https://www.instagram.com/mercurekyotostation_official/
メルキュールについて
ローマ神話の旅の神マーキュリーからインスピレーションを得たメルキュール ホテルは、1973年の創業以来、単に快適な眠りをご提供する場としてではなく、その地域に根ざした質の高いサービスを大切にしています。メルキュールは、リオ、パリ、バンコク、その他世界各地で、「ディスカバー・ローカル」のプログラムを通じて、お客様にその土地ならではのもの・ことに親しんでいただくことを目指しています。
インテリアデザインからその地域の食べ物、飲み物にいたるまで、その土地ならではのものに触れていただける空間、おもてなしをご用意しています。メルキュール ホテルは、都心、ビーチ、山あいなど、65か国以上に960以上のホテルを展開しています。メルキュールは、110か国以上に5,500以上の施設を展開する世界有数のホスピタリティ・グループであるアコーの一員であり、さまざまな特典、サービス、体験を提供するライフスタイル・ロイヤルティ・プログラム「ALL - Accor Live Limitless」の参加ブランドです。
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