牛乳やヨーグルトを食べてからしばらく経つと、おなかが張ったり下痢をしたり……それは「乳糖不耐性」が原因かもしれません。乳糖不耐性は多くの日本人が悩んでいるともいわれています。基本的な仕組みや症状、対策について薬剤師が解説します。
乳糖不耐性とは
乳製品にはラクトースと呼ばれる乳糖が含まれています。
これを体内でうまく分解できないと、下痢やおなかの張りといった消化器症状が出てしまいます。
こういった症状が出る人を「乳糖不耐性」と呼んでいます。
本来、小腸には「ラクターゼ」という乳糖を分解する酵素が存在していますが、加齢や体質などの原因で、ラクターゼの働きが弱まることがあります。
そうすると、乳糖が上手く分解されずに大腸に届いてしまい、腸内で発酵。
その結果、つらい症状を引き起こすのです。
とくに、日本人はラクターゼの活性が低下しやすく、大人になるにつれ欧米人よりも乳糖不耐性の割合が高くなるといわれています。
乳糖不耐性の症状
・食後のおなかの張り
・下痢や軟便
・ガスの増加
上記の症状は、乳糖不耐性の人が乳製品を摂取した後に、よく起こす症状です。ただし、乳糖不耐性はアレルギーのような免疫反応によるものではなく、酵素不足による一時的なもの。時間の経過に伴い、症状が軽くなることが一般的です。
乳糖不耐性の人は乳製品を摂れない!?
「おなかが痛くなるから、乳製品を完全に避けている」という人もいますが、多くの場合は
そこまでする必要はありません。
・乳製品を摂るときは少量ずつにする
・ラクターゼ処理済や乳糖ゼロの商品を選ぶ
・ヨーグルトやチーズなどの発酵乳製品を選ぶ
このような対策をすれば、乳糖不耐性の人でも乳製品の摂取が可能です。「乳製品が大好き! でも、おなかが痛くなるのが嫌……」という人は、試してみてくださいね。
<監修者プロフィール>
山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー。総合病院の糖尿病病棟での勤務経験を活かし、発酵食品や野菜を積極的に取り入れる生活を実践。牛角・吉野家他薬膳レストランなど15社以上のメニュー開発に携わった経歴を持つ。
手作りの味噌や毎食欠かさずキムチを食べるなど、腸活を意識した食習慣を心がけている。季節の食材や薬膳の知識を活かした料理にも関心があり、日々の食卓で腸にやさしいレシピを探求中。
Instagram:chokatsu_today