【独占取材】グローバルメイクアップアーティスト、James Vincent氏が語る!日本の美容文化と個性の輝かせ方

2025.10.29

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美容メディア シンデレラフィット編集部(聞き手:高部)
グローバルに活躍し、幅広い領域で実績を持つNYの重鎮的存在のメイクアップアーティスト、James Vincent氏。
特にレディー・ガガやリアーナといった世界的セレブリティ、オバマ大統領等のメイクアップを手掛けたことでも知られる同氏に、この度独占インタビューが実現しました。
先日、10月19日に中野カンファレンスホールで行われた国際美容イベント「Global Beauty Fes」に来日され、熱狂を巻き起こしたJames氏に、初めての来日で感じた日本の美容文化、アメリカとの違い、そして日本のビューティパーソンへの熱いメッセージを伺いました。世界が認めるトップアーティストの視点から、日本の美の未来が見えてきます。

 

Part 1:初来日で感じた日本の女性像とミニマリズムな美

 

高部: Jamesさん、ようこそ日本へ!初めて日本に来られて、街中で見かける女性のメイクアップにはどのような印象を受けましたか?

James Vincent氏(以下、James): まず驚いたのは、年齢を問わず日本の女性は本当に肌がきれいだということ。これは素晴らしいことです。メイクの印象としては、とてもミニマリズム(必要最小限)で、洗練されていると感じました。どちらかというと、目立ちたがるようなアグレッシブなスタイルは少ないように見受けられましたね。

しかし一方で、日本の美容家やメイクアップアーティストの方々は、非常にクリエイティブで、その技術レベルの高さには感銘を受けました。ミニマルな美しさと、プロフェッショナルの高い創造性が共存しているのが興味深いです。

 


Part 2:日米のメイクアップ哲学に見る「主張」と「理想像」

高部: アメリカと日本のメイクアップに対する考え方や文化的な違いは、どのように捉えていらっしゃいますか?

James: とても面白い違いがありますね。アメリカでは、メイクアップは基本的に「個人の主張(インディビジュアル)」なんです。私はこういう人間だ、という個性を表現する手段として捉えられています。

一方で日本は、「女性はこうあるべき」という、ある種の理想的な「女性像」にイメージを合わせたメイクであると感じます。社会が求める規範や、美的センスに沿うことが重視されているのかもしれません。

ただ、現代は世界中のSNSの影響を強く受けていますから、日本でも最先端のトレンドを取り入れた、よりインディビジュアルな(個人的な)メイクをしている方も増えている。この「伝統的な理想像」と「グローバルなトレンド」という両面を持っているのが、今の日本のメイクアップの現状ではないでしょうか。

 


Part 3:James氏からの熱いアドバイス!世界一の技術と個性の解放

高部: 日本に来られた印象も踏まえて、Jamesさんならではの視点から、日本の美容を愛する人々へアドバイスをお願いします。

James: 日本は、まずスキンケアの製品が素晴らしく、独自の発展を遂げています。これはぜひ誇りに思っていただきたい。また、日本のヘアクオリティ、特にカット技術は世界一だと思います。その土台の上に、新しい考え方や技術もどんどん浸透しています。

しかし、私が強く願うのは、「個々人の個性(インディビジュアル)」がもっとフォーカスされることです。アメリカは、多様性が前提にあり、インディビジュアルに重点が置かれます。隣り合う10人の中に、5~6人は異なる文化を持つ人がいる、といった環境です。それぞれの個性が尊重され、活躍できる社会です。

日本も、その素晴らしい技術と高い美意識はそのままに、「個人での活躍」や「自分らしさの追求」にもっと光が当たれば、さらに美容の可能性が広がるでしょう。

日本の社会環境、例えば「髪や瞳の色」といった見た目に対する統一感のニュアンスが、インディビジュアルが広がる上で、ある種の要因のひとつになっているかも知れません。しかし、それは裏を返せば、伝統と歴史を重んじる文化の美点でもあります。

日本の美容従事者の方々には、「今の歴史と文化は大事にしながら、そこに『自分らしさ』を極めていくコンビネーション」を強く意識して欲しい。最高の技術と、心の底から表現したい個性を融合させることが、日本の美容が世界をリードする次のステップになると信じています。

 


取材を終えて(高部): Jamesさんの言葉には、日本の美容に対する深い敬意と、さらにその可能性を広げてほしいという熱い想いが込められていました。世界トップレベルの技術を持ちながらも、個性の表現には控えめになりがちな日本のビューティカルチャーに、一石を投じる金言でした。

 

この記事を書いた人

山田 花子

Cinderella Fit 編集部

美容メディア シンデレラフィット

「美容従事者すべてにリスペクトを」頑張る女性にスポットを当て、人と人を繋いで行きます。

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