Special Interview & Report
「日本茶を食体験の主役に」——既存のペアリング文化との決定的な境界線

髙部(以下、髙部): 本日はありがとうございます。CRAFT SAKE WEEKの会場でも圧倒的な存在感を放っている「HANAAHU TEA(ハナアウ ティー)」ですが、ワインや日本酒といった既存のペアリング文化と比較して、日本茶が持つ「決定的な境界線」はどこにあるとお考えでしょうか?
柏﨑さま(以下、柏﨑): 一番の大きな違いは、やはり「アルコールを含まない」ことによる飲み疲れのなさですね。お茶自体には糖分が含まれていませんので、どれだけお料理とともに楽しんでいただいても、体に負担がかかりません。
その上で、ワインや日本酒とはアプローチの仕方が異なり、緻密な「旨みのコントロール」ができる点が強みです。茶師十段の山口真也氏による最高峰の目利きと、ソムリエの大越基裕氏の知見を掛け合わせることで、旨みの概念に囚われず、発酵度合いや採取時期、焙煎具合、茶葉品種や産地 まで緻密に設計しています。酸味・苦味・渋味・旨みをバランスよく構築しているからこそ、和食はもちろん、フレンチやイタリアンといったモダンな食卓の主役になり得るポテンシャルを持っています。

初の一般向け販売(桐箱セット)解禁の背景と、茶業界が抱える課題

髙部: これまではトップレストランを中心に展開されていましたが、今回のイベントに合わせて初となる一般向け商品「茶葉シリーズ 桐箱セット」の販売に踏み切られました。この背景には、どのような市場の変化や消費者からのフィードバックがあったのでしょうか?
柏﨑: もともとこのプロジェクトは、中田英寿が日本各地を巡る中で日本茶農家が抱える課題に向き合い、日本茶の新たな可能性を切り拓き、豊かな文化と自然環境を未来へと受け継ぐことを目標としております。日本茶農家の課題として①日本茶の市場価格の低迷②日本茶生産者の後継者不足③耕作放棄地といった課題があります。
「レストランでしか出会えないこの味を、自宅でも楽しみたい」という愛好家の皆様からの熱いご要望をいただいたこと、そして何より、こうした取り組みを通じて生産者を支える「循環型」の輪をより多くの方に広げていきたいという想いが、今回の一般向け解禁への後押しとなりました。
中田英寿氏の旅が導いた「特別な水源の水」と、飲食店向けボトリングティー『SIGUSA』

髙部: 飲食店向けの新作ボトリングティー『SIGUSA(四草)』も非常に話題を集めていますが、中田氏が全国を巡る中で出会った「特別な水源の水」を使うことが、単なる茶葉の選定以上に味の完成度へどのような影響を与えているのでしょうか?
柏﨑: お茶という飲み物は、仕込み水の成分(軟水や硬水の分別など)によって味が大きく変化してしまう非常に繊細なものです。
中田は15年以上にわたり全国3,000か所以上の生産者や様々な作家を巡る旅を続けてきました。その中で現場の課題に耳を傾け、自らのなかで想いをブラッシュアップしてきたのですが、その旅の過程で出会ったのが、日本でも稀有な「特別な水源の水」でした。この水との出会いこそが、これまでにない本来の香り立ちと圧倒的な透明感を実現し、「SIGUSA」の完成度を極限まで高めてくれました。
生産者へのリスペクトと、水への徹底的なこだわりが一体となった、まさに中田の哲学の結晶ともいえるプロダクトです。

