2000年に北青山D.CLINICを開業した阿保義久先生は、「医療にイノベーションを」という強い信念のもと、再生医療や予防医療を積極的に取り入れ、現代医療の最前線を切り拓いています。
『コロナの時代のアンチエイジング』や『老け手解消!手・腕に浮き出る血管を改善する方法』など、10冊以上の著書も執筆し、医療分野に多大な影響を与えています。
今回は、阿保先生が北青山D.CLINICを開業した背景や、予防医療にもつながるドクター監修のサプリメントについて、貴重なお話を伺いました。
――こちらのクリニックを開業された決意の背景を教えてください。
阿保先生: 一つのきっかけとしては、父の他界がありました。私はもともと大学病院で勤務し、いわゆるアカデミックな道を進んでいました。上司からもそのレールに沿ったキャリアを勧められ、特に開業を考えていたわけではありませんでした。
ところが、ある日、父が突然倒れたんです。私は外科医だったので、治療にあたろうとしましたが、残念ながら手術の適用外で、そのまま見送る形になりました。私は一人息子で、兄弟もいません。父は自営業を営んでいたため、いろいろな後片付けもしなければならず、その時点で自分の生活も大学院生として不安定なものでした。
そんな中、これからどうするかを考えたときに、思い切って開業しようと決意しました。それまでは考えもしなかった選択でしたが、環境の変化が一気に押し寄せてきたこともあり、アカデミックな道を歩むのではなく、自分自身の道を作ることにしました。
――周囲の反応はいかがでしたか?
阿保先生: 教授や上司からは驚かれました。「君にはここで重要な役割を担ってもらいたかったのに」といった言葉もいただきました。ただ、私自身は当時、大学という大きな組織の中で決められた道を歩むことに、どこか閉塞感を感じてもいました。そこで、独立して自分のやりたい医療を追求しようと決断するに至ったのです。
――お父様は医療とは関係のないお仕事だったと伺いました。
阿保先生: ええ、父は青森県でりんご関連の仕事をしていました。農業の管理や設備投資もしていたので、残されたものの整理も大変でしたね。
――青森で開業するという選択肢はなかったのでしょうか?
阿保先生: それはなかったですね。当時、私は関東圏のいろいろな病院で当直をしており、土地勘もネットワークもすべてこちらにありました。もちろん地元に知り合いはたくさんいますが、実際の医療の拠点としては東京のほうが適していると考えました。
健康寿命を伸ばす取り組みと現代病
――先生が重視されている「健康寿命」についてお聞かせください。
阿保先生: 私が目指しているのは、単に長生きすることではなく、「元気に長生きする」ことです。日本の医療は高度ですが、病気になってからの治療が中心で、予防医療にはまだ力が入れられていません。欧米型の生活習慣病が増えていることもあり、健康寿命を伸ばす取り組みが必要だと考えています。
――具体的に増えている疾患にはどのようなものがありますか?
阿保先生: 食生活の変化もあり、がんの種類が変わってきています。昔は胃がんが多かったのですが、最近は大腸がん、肺がん、乳がんが増加しています。また、血管疾患も以前は脳出血が多かったのが、今では脳梗塞や心筋梗塞といった血栓による病気が主流になっています。
――そこからサプリメントの開発へとつながっていったのですね。
阿保先生: そうですね。ただ、「病気が増えているからサプリメントを作ろう」という単純な流れではなく、まずは患者さんたちの意識の変化に気づいたことが大きかったです。日本でもサプリメントを日常的に摂取している人が多く、また、「薬との相性はどうか」「この成分で問題ないか」といった相談を受けることも多かったんです。それならば、医療の知見を生かして、本当に信頼できるものを提供できないかと考えたのがきっかけでした。
サプリメントと薬
――サプリメントにはさまざまな種類がありますが、選ぶ際の基準はありますか?
阿保先生: これは非常に難しい問題ですね。日本ではサプリメントの規制が比較的緩いため、品質のばらつきがあります。良いものを作ろうとすると、やはり原料費も高くなります。極端に安価なものは、質の面で疑問が残ることも多いですね。
また、医療の現場で使用されていた成分が、サプリメントとして手軽に摂取できるようになったというのも興味深い点です。たとえば、心不全の治療薬として使われていたコエンザイムQ10(ユビキノン)は、サプリメントとして高用量で摂取することが可能になりました。また、鉄剤も、医療機関で処方されるものは植物由来の「非ヘム鉄」ですが、サプリメントでは動物由来の「ヘム鉄」があり、吸収率が高く、副作用も少ないとされています。
――医師の間ではサプリメントに対する意見は分かれるのでは?
阿保先生: その通りです。サプリメントに否定的な医師も少なくありません。ただ、患者さんたちはすでにサプリメントを取り入れていますし、薬との相性を考える必要もあります。そのため、医師が正しく理解し、適切にアドバイスすることが求められていると感じています。
――先生のサプリメントに込めた想いとは?
阿保先生: サプリメントは、あくまで補助的なものです。基本は食事や運動といった生活習慣の改善ですが、現代の食事では不足しがちな栄養素もあります。医療の知識を生かして、安全で効果的なサプリメントを提供することで、健康寿命を延ばすお手伝いができればと考えています。
――ありがとうございました。
■北青山D.CLINIC概要
医院名:北青山D.CLINIC
住所:東京都渋谷区神宮前3-7-10 ARKWISEBLDG.
院長:阿保義久
■ドクターズサプリメント「Dr.Formula」概要
ドクターズサプリメント「Dr.Formula」は、北青山D.CLINICの阿保義久院長が、医療人としての使命感と信念に基づいて立ち上げたサプリメントブランドです。医療の現場で得た経験と医師ならではの視点を活かし、常に消費者を第一に考えた企画・開発を続けています。
公式オンラインショップURL:https://www.arkwise.co.jp/
コーポレートサイトURL:https://www.dsurgery.com/
1965年青森県生まれ。東京大学医学部医学科卒業。2000年に北青山Dクリニック(現:北青山D.CLINIC)を設立し、外科医としてのスキルを生かして日帰り手術を発案したほか、病気を作らない予防医療、治癒が可能な段階で早期発見するための人間ドック、生活の質を高めるアンチエイジング療法、進行がんに対する革新的治療まで、質の高い医療サービスの提供にも精力的に取り組む。「医療にイノベーションを」を理念に掲げ、理想的な医療環境の構築にも励んでいる。著書には『アンチ・エイジング革命(講談社)』、『下肢静脈瘤が消えていく食事(マキノ出版)』、『尊厳あるがん治療(医学舎)』、『コロナの時代のアンチエイジング』などがある。