性交痛は多くの女性が抱える悩みのひとつ。パートナーのことは好きだけど、行為のことを考えて憂鬱になってしまうのは悲しいですよね。
また、性交痛は放っておくと症状が悪化してしまう恐れもありますし、病気の兆候である可能性もあります。
事態が深刻化してしまう前に、性交痛について知っておきましょう。
今回は性交痛の原因と対策について紹介します。
性交痛とは?
性交痛とは、その名の通り性交時に感じる痛みのこと。ある調査によれば、20〜40代の女性の半数以上が性交時に痛みを感じたことがあり、性交痛は多くの女性が抱える悩みであることがわかります。
性交痛を感じるのは主に2か所で、「膣の入り口付近」と「膣の奥」に分かれます。まずはそれぞれの痛みの特徴について確認しましょう。
膣の入り口が痛む「入口部性交痛」
入口部性交痛は、外陰部や陰唇などの膣の入り口部分に痛みを感じるタイプの性交痛です。
主に処女膜や膣の乾燥が原因とされています。
この症状はあまり性行為の経験がない人に多いため、「自分だけかも」「恥ずかしい」などの理由でパートナーに相談できずにいる傾向があります。
しかし、対策せずに我慢していると、症状が悪化して、膣の入口だけでなく全体に痛みを感じるようになってしまう危険性も。痛みを感じたら、早めに対策をとることが重要です。
膣の奥が痛む「深部性交痛」
深部性交痛は、膣の奥が痛むタイプの性交痛です。挿入時に、ペニスが膣の奥の子宮口付近にあたることで痛みを感じます。
パートナーと話し合い、強さや振動を調整することで改善すればいいですが、奥まで挿入した際に激痛が走るようなら病気が隠れている可能性もあります。
膣の奥の痛みが気になる人は、症状が深刻化する前に一度医療機関を受診するのがいいかもしれません。
性交痛はなぜ起こる?
パートナーとの大切な時間の邪魔をする性交痛。対策するにはその原因を知る必要があります。
性交痛の原因として考えられる要因をあげるので、あてはまるものはないか思い返してみてください。
主な原因はうるおい不足
性交時に膣が十分にうるおっていれば性交痛は起こりにくいですが、うるおいが足りないと痛みを感じやすくなります。膣はとてもデリケートな場所。心身の状態により、うるおい不足に陥りがちです。
たとえば、ストレスや緊張は濡れにくくなる原因のひとつです。前回の痛みを思い出して不安になったり、あるいは出産を経験した人だと、出産時の痛みを思い出したりして濡れにくくなってしまうこともあります。
また、前戯不足も膣のうるおい不足の大きな原因です。性的興奮と膣のうるおいには関係があるため、女性側の準備が整わない状態で挿入が始まると、摩擦により痛みを感じやすくなります。
婦人科系の病気が隠れている場合も
子宮の奥に痛みを感じる場合は、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣腫瘍など、婦人科系の病気の可能性が考えられます。
子宮筋腫は成人女性の4人に1人が持っていると言われるメジャーな病気です。性交痛の原因が子宮筋腫である可能性は十分にありえます。
また、子宮内膜症の場合、炎症が子宮の裏にある部位にできやすいため、行為中に激痛が走ることも。卵巣腫瘍の場合は、腫瘍が大きくなると刺激で痛みを感じることがあります。
このように、婦人科系の病気の初期症状が性交痛としてあらわれることがあるため、強い痛みを感じたり、症状が長引いたりするようなら病気を疑うことをおすすめします。
性交時の痛みを解消するには
性交痛の原因の多くは、膣のうるおい不足や婦人科系の病気にあることがわかりました。それらを踏まえ、性交時の痛みを軽減・解消する方法を3つ紹介します。
時間をかけてうるおいを促す
初体験や久しぶりの行為は緊張しやすいですし、過去に恋愛や性行為にトラウマがあると性行為自体にストレスを感じてしまいます。
ストレスや緊張を感じる要因を排除し、リラックスできる環境を作りましょう。
また、とくに経験が少ない男性だと、自分本位で挿入を始めてしまう場合や、強く触れることが気持ちがいいと誤解している場合もあります。
そのため、自分の不安や悩みをパートナーに打ち明け、お互い気持ちよく行為ができるよう環境を整えることが大切です。
潤滑ゼリーを活用する
膣の濡れやすさには個人差があります。前戯を十分に行ってもあまり効果を感じられない人は、潤滑剤を使うのもひとつの方法です。
潤滑剤を使って滑りをよくすることで、膣の入り口付近に感じる痛みを軽減・解消することが期待できます。
潤滑剤にはゼリータイプやローションタイプなどさまざまな種類があります。パートナーと相談し、ふたりの体質に合ったものを選びましょう。
婦人科に相談する
対策を試しても改善されない場合や痛みが強い場合は、病気が隠れている可能性があります。
病院で検査を受けることで、病気の特定や適切な治療法の提案をしてもらえるため、病気の早期発見だけでなく性交痛の解消にもつながります。
婦人科系の病気は不妊の原因にもなりうるため、早期発見・早期治療が重要です。我慢をせずに婦人科の受診を検討しましょう。
相談しにくい膣の悩みは漢方薬でセルフケアを
性交痛の主な原因は膣のうるおい不足ですが、ストレスや緊張を感じやすかったり、体質的に濡れにくかったりすると、一筋縄ではいきません。
そんな人には漢方薬がおすすめ。漢方薬は体質改善を得意としており、緊張やストレスを和らげたり、膣の乾燥や膣の粘膜の血流不足を改善したりすることで、性交痛を感じにくいからだを目指すことが可能です。
性交痛に悩んでいる人におすすめの漢方薬を紹介します。
<おすすめの漢方薬>
・八味地黄丸(はちみじおうがん)
からだを温め「腎(漢方の考え方で、エネルギーが蓄えられているとされている場所)」を補うことで泌尿器・生殖器系の働きを高める効果が期待できる漢方薬です。
尿トラブルや性交痛などの下半身の不調に用いられます。
疲れやすく、冷えやすい人におすすめです。
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
血行を促進し、からだを温めるとともに、栄養を巡らせ、女性ホルモンの乱れによる不調や自律神経を整える漢方薬です。
月経に伴う諸症状、気分の落ち込みやイライラなどの精神的な不調に用いられます。
体力が中程度以下で、疲れやすく肩がこる人におすすめです。
漢方薬は自分の体質や症状に合ったものを選ぶことで効果を感じやすくなります。
漢方薬を初めて飲む人や、詳しく知らない人でも心配いりません。最近は自分に合った漢方薬をAIが選んでくれる「あんしん漢方」というオンラインサービスもあります。
セルフケアのひとつとして漢方薬を検討してみるのはいかがでしょうか。
まずはパートナーに相談を
性交痛の多くは、膣のうるおい不足や婦人科系の病気が原因です。人に相談しにくい悩みですが、放置しておくと症状が悪化してしまったり、病気の初期症状を見逃してしまったりと、いいことはありません。
性交痛を感じたときは、まずはパートナーと相談し、それでも改善しない場合は医師の診断を受けましょう。
<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師
中田 早苗(なかだ さなえ)
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=211231g6sdf10035&utm_source=shindere&utm_medium=referral&utm_campaign=250520