「断るのが苦手」「頼まれるとつい引き受けてしまう」本記事はそんな人におすすめの内容です。
人付き合いで感じるモヤモヤや疲れの原因は、もしかしたら「バウンダリー(境界線)」があいまいだからかもしれません。
他人と自分の間に適切な距離感を保つための線引きをすることは、冷たいことではなく、自分を大切にすることにつながります。
この記事では、バウンダリーの基礎から、今日からできる実践方法までを紹介します。
そもそもバウンダリーとは?

「バウンダリー(boundary)」は、日本語では「境界線」と訳されることが多いですが、相手との適切な距離感を保つために必要な“心の中の線引き”のことです。
“心の中の線引き”は、相手との距離感を保ちつつ、自分の感情や時間、価値観を守るための目に見えない線であり、心理学では、健康的な人間関係を築くうえで欠かせないスキルとされています。
この“心の中の線引き”がしっかりしている人は、相手を尊重しながらも自分を犠牲にしません。逆に、バウンダリーが弱いと、他人の感情に巻き込まれたり、頼まれごとを断れなかったりして、心が疲弊してしまうのです。(※1)
バウンダリーがあいまいだと、どうなる?

バウンダリーがあいまいな人は、つい「相手のために」と自分を後回しにしてしまいがちです。
たとえば、仕事で頼まれたタスクを断れずに残業続きになったり、友人の愚痴に延々と付き合って疲れたり。「相手に嫌われたくない」「期待に応えなきゃ」という思いが、ストレスの根源になります。
その結果、心身に不調が出たり、相手に対してイライラしたりと、関係がこじれてしまうことも。バウンダリーを引くことは、決してわがままではなく、自分も相手も尊重するための「優しさの線」なのです。(※1)
自分を守るバウンダリーの身に付け方

バウンダリー、つまり“適切な距離感を保つための線引き”が上手にできるようになるには、日常のちょっとした意識と練習が大切です。ここでは、今日から実践できる4つのステップを紹介します。
「I(アイ)メッセージ」で優しく伝える
「あなたが悪い」ではなく、「私はこう感じた」と伝えるのがポイントです。
主語を「私」にすることで、感情を冷静に伝えやすくなり、相手を責める印象を和らげられます。
たとえば、
✕「あなたっていつも私の話を聞かないよね」
〇「私は話を最後まで聞いてもらえないと、少し悲しい気持ちになる」
このように言い換えることで、相手も防御的にならず、建設的な対話が生まれやすくなります。
“あの人はこう思っているに違いない”ではなく、“私はこうされて悲しかった”と、自分の気持ちを素直に表現してみましょう。(※2)
すぐ決めずに、一旦持ち帰る
頼まれごとをされたとき、反射的に「いいですよ!」と返していませんか? その場で即答すると、自分のキャパを超えてしまい、あとで苦しくなることも。
そんなときは、ワンクッション置いて考える習慣をつけましょう。
たとえば、
「少し確認してからお返事しますね」
「スケジュールを見てからお伝えしてもいいですか?」
こう言うだけで、断る・引き受けるの判断を冷静に行えます。「考える時間を取ること」も立派なバウンダリーのひとつです。(※1)
ちょっとづつ「NO」を伝えてみる
いきなり大きなことを断るのは勇気が要ります。まずは、日常の小さな場面で「NO」を伝える練習から始めましょう。
「今日は疲れているのでまた今度にしてもいい?」
「その仕事は今のスケジュールでは難しそうです」など。
最初はドキドキするかもしれませんが、少しずつ言えるようになると、「自分の気持ちを大切にしていいんだ」と実感できます。(※1)
「期待に応える」はやめる
「期待に応えなきゃ」と思うあまり、自分を追い詰めていませんか? 実は「期待」という感情は、相手のものであって、それに支配される必要はありません。
相手の望む反応を返さなかったからといって、あなたが悪いわけではないのです。逆に、相手の機嫌や反応を自分の責任だと感じると、バウンダリーが崩れていきます。
他者の「期待」も、自分の「評価」も、お互いの領域として認識することで、無理なく自然な関係を保てるようになります。「相手の世界」と「自分の世界」を分けて考えることが、心を軽くする第一歩です。(※1)
心がしんどいときに頼れる漢方薬

バウンダリーが弱いと感じるあなたは、きっと心が優しい人なのです。相手を思いやる気持ちが強いあまり自分を犠牲にして、心が疲れてしまうことも多いのではないでしょうか。
もし、心がしんどくなったときは、今回ご紹介した方法を実践することに加えて、漢方薬で自分を労わってあげるのもおすすめです。からだの根本からアプローチするので、心とからだのバランスを整えやすくなります。しかも、飲むだけなので忙しい毎日でも無理なく取り入れやすいですよ。
心がしんどいときは、下記のような働きのある漢方薬を選びましょう。
・気分の落ち込みを改善する
・ホルモンバランスの乱れを改善する
・血流をよくして自律神経の乱れを整える
・消化・吸収機能を改善してからだの内側から心を元気にする
<おすすめの漢方薬>
・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
ストレス性の胃痛や吐き気、不安、イライラ、喉の詰まり感がある人に。(※3)
・抑肝散(よくかんさん)
イライラする、眠れないなどの症状がある人に。(※4)
<漢方薬を選ぶ際の重要なポイント>
漢方薬は自分のからだに合ったものを選ぶのが重要です。どのように選べばいいか悩むときは、「あんしん漢方」のようなオンラインサービスを利用してみましょう。
「あんしん漢方」は、AI(人工知能)を活用した「オンライン個別相談」があり、漢方に詳しい薬剤師にスマホで気軽に相談ができます。お手頃価格でお財布にもやさしいので、しっかり続けやすいのも魅力です。
バウンダリーとは、相手との適切な距離感を保つために必要な心の線引き
バウンダリーをしっかりもつことは、「人を遠ざける」のではなく、「お互いを尊重する」ことにつながります。
「断れない自分」を責める必要はありません。自分の時間や感情を守ることは、あなたの心を守る優しい選択といえるでしょう。
参考サイト
(※1)銀座泰明クリニック「バウンダリー 境界線」
https://www.ginzataimei.com/knowledge/%E3%83%90%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%80%80%E5%A2%83%E7%95%8C%E7%B7%9A/
(※2)かささぎ心理相談室「他人に振り回されないために ― “バウンダリー”で築く健康な人間関係」
https://www.urraca.jp/archives/4091
(※3)くすりのしおり「ツムラ半夏厚朴湯エキス顆粒(医療用)」くすりの適正使用協議会
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=7949
(※4)くすりのしおり「ツムラ抑肝散エキス顆粒(医療用)」くすりの適正使用協議会
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=9191
<この記事の監修者>

横倉恒雄(よこくらつねお)医師
婦人科・内科・心療内科医
医学博士/医師。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。病名がない不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。著書に『脳疲労に克つ』『心と体が軽くなる本物のダイエット』『今朝の院長の独り言』等がある。クリニックで行っている『しなやか更年期サロン』はオンライン参加もあり、外来では時間がなく聞けない質問等もゆっくり教えてもらえると好評。
<漢方監修>

木村 英子(きむらえいこ)
あんしん漢方薬剤師
北里大学薬学部・東京大学大学院医学系研究科卒。臨床検査技師。
厚生労働省検疫所・病院にて公衆衛生・感染症現場を経て、インドアーユルヴェーダの権威ミーナクシ・アフジャ博士に師事。
対症療法ではなく体質を根本改善することの重要さを痛感し、西洋医学をベースに東洋医学からのアプローチを取り入れ、アロマやハーブを活用した情報発信を行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行っている。
