忘年会シーズンは食事会やお酒の席が重なり、胃の不調を感じやすい時期です。
翌日まで残る胃もたれや胃痛は、できるだけ避けたいものですよね。
胃の不調を解消し、胃を労わるには、日々の少しの工夫が大切です。
今回の記事では、胃に負担がかかる原因から、食事の選び方、そして負担を軽減するコツまで、今日からすぐに実践できる情報をご紹介します。
食事会が続くと胃が疲れるのはなぜ?

食べすぎや飲みすぎは、胃の中に食べものが長時間とどまる原因になります。消化に時間がかかると胃もたれの原因になり、やがて胃痛を引き起こすことも少なくありません。
本来、消化物はスムーズに十二指腸に送られるはずですが、胃の運動機能が低下すると内容物が停滞し、こうした症状が引き起こされます。
また、アルコールは胃の粘膜を直接刺激し、胃酸の分泌を過剰に促す作用があります。
お酒は適量であれば食欲を増進させますが、過剰に摂取すると胃酸と胃粘膜のバランスが崩れ、胃粘膜を荒らして炎症を起こしてしまうことも。このような胃酸過多の状態が、つらい胃痛や胸焼けの正体です。
また、女性に多くみられる「冷え」も胃の機能を低下させる一因です。からだが冷えやすい年末年始の時期に食生活の乱れが重なると、胃への負担はさらに増し、深刻な不調にもつながりかねません。
胃に優しい食材と避けるべき食材

胃に負担をかけにくい食材は、脂質が少なく、消化を助ける成分を含むものです。
たとえば、おかゆやうどんなどの炭水化物を含む食材、白身魚や鶏むね肉などの低脂質でたんぱく質を含む食材が挙げられます。
豆腐や納豆などの大豆製品も、良質なたんぱく質源。野菜では、大根、白菜、キャベツなど、比較的繊維質が少ないものが胃への負担も軽めです。
逆に、摂取を控えたいのが油っこい食べものです。揚げものや脂身の多い肉は、消化に時間がかかり、胃の負担を増加させます。
お酒のおつまみの定番である辛いもの、塩味の濃いものなども胃粘膜を刺激するため注意が必要です。
また、ごぼう、れんこん、セロリなど不溶性食物繊維を多く含む野菜や、きのこ類や海藻類も、胃腸が弱っているときには刺激になりやすいため、摂取を控えましょう。
胃に負担をかけない食べ方の極意

ここからは、胃の負担を最小限に抑えるための、食べ方のポイントを3つご紹介します。
食べる順番を意識する
消化の負担を軽くするため、まずは野菜や汁物から食事を始めましょう。次に肉や魚などのたんぱく質、最後に米や麺などの炭水化物を摂るのが理想的な流れです。
先に食物繊維を摂ることで、その後の糖質や脂質の消化吸収が穏やかになり、血糖値の急上昇を防ぐ効果も期待できます。
また、よく噛むことも大事です。ひと口につき30回を目安にゆっくり噛むと、唾液の分泌が促進されて消化活動が助けられるだけでなく、満腹中枢も刺激され食べすぎ防止にもつながります。
お酒は空腹時を避ける
空腹状態でお酒を飲むと、アルコールの吸収が早くなり、胃粘膜がダメージを受けやすくなります。その結果、胃粘膜の炎症を引き起こす場合も。
食事と一緒にお酒を摂取することで、胃粘膜を保護しつつ、アルコール吸収の速度を緩やかにできるので、酔いが回るのを遅らせる効果も期待できます。
翌日はリセット食で胃を休める
お酒を飲みすぎた翌日は、胃をしっかりと休めるために、味の濃いものや刺激の強いものを避けて、消化のよいものを中心とした食事を心がけましょう。
朝はまず白湯で水分を補給し、食事はおかゆや雑炊など、胃に優しく腹持ちしやすいものを選びます。
大豆製品などに豊富に含まれるビタミンB1は、アルコールで疲弊した肝機能の働きを助けてくれるので、積極的に摂取しましょう。豆腐の味噌汁なら水分と塩分も同時に補給でき、一石二鳥です。
また、二日酔いには梅干しもおすすめです。梅干しに含まれるピクリン酸には、肝機能を高める作用があるといわれています。アミノ酸やミネラルが豊富なかつお節と組み合わせれば、さらに効果が期待できるでしょう。
梅干しとかつお節をおいしくいただくなら「梅茶節」がおすすめです。この「梅茶節」は、温かい緑茶にかつお節1パックと梅干しを入れて1~2分蒸らすだけで手軽に作れるので、二日酔いのリセットドリンクとして活躍してくれます。
胃の不調を根本から改善!頼れる漢方薬の力

さまざまなケアを試しても胃の不調が続く場合は、漢方薬をとり入れるのもひとつの選択肢です。
漢方薬は、西洋薬のように一時的に症状を抑える対症療法とは異なり、不調の根本原因からアプローチして体質そのものの改善をめざします。
毎日服用するだけなので、生活習慣を大きく変える必要がなく、簡単に続けやすい点もメリットといえるでしょう。
漢方薬で胃の不調に対処する場合、
「胃腸の消化機能を回復する」
「胃の粘膜の荒れや炎症を改善する」
「過剰な胃酸分泌を改善する」
といった作用を持つ生薬を含む漢方薬を選びましょう。
<胃の不調対策におすすめの漢方薬>
・半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
胃腸を温めて働きを整え、炎症を抑えて胃腸の不調や二日酔いを和らげます。
・平胃散(へいいさん)
水分代謝を促し、消化不良や胃もたれを改善します。
ただし、漢方薬は体質との相性もとても大切です。からだに合っていない漢方薬を使用しても本来期待できる効果は得られず、むしろ副作用が起こる場合もあります。
漢方薬を使用する際は医師や薬剤師に相談し、体質に合ったものを使うようにしましょう。
もう少し手軽に漢方薬を使用したい方には、オンライン漢方薬サービスの「あんしん漢方」がおすすめです。
あんしん漢方は、体質診断、漢方薬の提案、アフターフォローまですべてネットで完結。通院の手間が省けるため、多忙な方でも利用しやすい点が人気です。
胃への負担を避けるために
忘年会や新年会が行われるシーズンは、どうしても胃の調子が乱れがちになってしまいますよね。しかし、食事の選び方、食べ方を工夫するだけでもその負担は軽減できます。
今回ご紹介したセルフケアを実践し、胃を労わりながら、楽しい年末年始を健康的に乗り切っていきましょう。
<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストランなど15社以上のメニュー開発にも携わる。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=211231g6sdf10087&utm_source=shindere&utm_medium=referral&utm_campaign=251209
