【医師解説】お盆・旅行シーズンは 「ロングフライト症候群」に要注意! 脚のむくみ・血栓症リスクを防ぐセルフケア

2025.08.04

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「Dr.Aboが教える!“死ぬまで元気で美しく”を叶えるコラム」
本連載では、北青山D.CLINIC院長の阿保義久先生が、忙しい現代女性の健康と美を守るヒントをお届けします。

vol.6のテーマは、お盆・夏休みの旅行や帰省で多くなる「長時間移動」に潜む、脚のむくみ・血栓症(ロングフライト症候群)について。実はこれ、ちょっとした油断で誰にでも起こり得る健康リスク。大切な自分と家族の体を守るため、医師が教える「いま知っておきたい予防の知恵」を分かりやすく解説します。


脚のむくみとロングフライト症候群の本当の怖さ

夏はお盆や連休で旅行・帰省が増える季節。飛行機や新幹線、車での長距離移動を予定している方も多いのではないでしょうか。そこで気をつけたいのが「脚のむくみ」。

単なる美容の悩みと思いがちですが、実は長時間同じ姿勢で座り続けると、脚の静脈に血流の滞り(うっ血)が起こり、時に「血栓(けっせん)」という血のかたまりができてしまうこともあります。

この血栓が脚から血流に乗って肺に到達すると、「肺血栓塞栓症(はいけっせんそくせんしょう)」という突然息苦しさや意識消失を引き起こす重篤な状態になることも。これが「エコノミークラス症候群(ロングフライト症候群)」です。

実は健康な若い人でも、長時間座りっぱなしや脱水、トイレを我慢するなどが重なると、誰にでも起こり得るもの。男性だけでなく、女性・妊婦さん・シニアの方まで油断できません。

「血栓症」って何?知っておきたい基礎知識

「血栓」とは、本来ケガをしたときに血が止まるための血のかたまりのこと。でも、血管の中に異常に血栓ができてしまうと、「血栓症」となり、血流が止まる=命に関わるリスクにも。

たとえば

●脚の深部静脈(しんぶじょうみゃく)にできた血栓が肺に飛ぶと…「肺血栓塞栓症」

●心臓や脳の血管が詰まれば…「心筋梗塞」や「脳梗塞」

突然、元気だった人が急に体調を崩すことも珍しくありません。夏の長距離移動や在宅ワーク、映画鑑賞など、意外なシーンでも発症例があるため、誰でも油断できないのです。

長距離移動や夏のむくみを防ぐセルフケア4選!

阿保院長おすすめの、今日からできる血栓症&むくみ対策をご紹介します。

1.こまめに足を動かす&ストレッチ!

1時間ごとに「かかとの上げ下げ」「足首を回す」など簡単な運動を。機内や車内でも、つま先を曲げ伸ばしするだけでも効果的です。

 

2.水分補給はのどが渇く前に!

汗や空調で体は意外と乾きがち。カフェイン・アルコールは利尿作用が強いので飲みすぎに注意。「のどが渇いた」と思う前に、こまめに水分を摂るのがコツ。

3.着圧ソックス・サポーターを活用

静脈のうっ血やむくみ予防に。最近は夏向けの通気性・冷感素材も豊富なので、長距離移動の際は賢く取り入れてみてください。

4.座り方・服装にも一工夫

脚を組まず、膝裏や足首を圧迫しないゆったりした服・靴で。トイレは我慢せず、立つ・歩くことも大切です。

そのほかにも…

●普段から適度な運動・バランスの良い食事を意識する

●下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)や持病のある方は、定期的に医師の診察を受けることも忘れずに

こうした習慣も、血栓症・むくみの根本対策につながります。違和感を放置せず、日常生活での血管ケアも意識してみてください。美脚も健康も、毎日のちょっとした心がけで守れます。

旅やお出かけを安心・元気で楽しむために…

「エコノミークラス症候群(ロングフライト症候群)」は、ほんの少しの気配りとセルフケアで予防できる病気です。旅行や帰省を思いっきり楽しむためにも、脚のケアは欠かさず、家族や大切な人にもぜひシェアしてください。

なお、今年の9月は例年以上に残暑が厳しくなると予想されています。夏の疲れや体力の消耗が続くと、気づかないうちに「隠れ貧血」などの体調不良を招くことも。

次回は、まだまだ暑さの残る9月に気をつけたい隠れ貧血のサインと、元気を守るための簡単セルフケアについて、医師の視点からお伝えします。ぜひお楽しみに!

北青山D.CLINIC阿保義久院長プロフィール

1965年青森県生まれ。東京大学医学部医学科卒業。2000年に北青山Dクリニック(現:北青山D.CLINIC)を設立し、外科医としてのスキルを生かして日帰り手術を発案したほか、病気を作らない予防医療、治癒が可能な段階で早期発見するための人間ドック、生活の質を高めるアンチエイジング療法、進行がんに対する革新的治療まで、質の高い医療サービスの提供にも精力的に取り組む。「医療にイノベーションを」を理念に掲げ、理想的な医療環境の構築にも励んでいる。著書には『アンチ・エイジング革命(講談社)』、『下肢静脈瘤が消えていく食事(マキノ出版)』、『尊厳あるがん治療(医学舎)』、『コロナの時代のアンチエイジング』などがある。 

クリニックURL:https://www.dsurgery.com/

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この記事を書いた人

山田 花子

Cinderella Fit 編集部

美容メディア シンデレラフィット

「美容従事者すべてにリスペクトを」頑張る女性にスポットを当て、人と人を繋いで行きます。

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