「Dr.Aboが教える!“死ぬまで元気で美しく”を叶えるコラム」
本連載では、北青山D.CLINIC院長の阿保義久先生が、忙しい現代女性の健康と美を守るヒントをお届けします。
vol.7のテーマは、夏の疲れがピークに達する9月に注意したい「隠れ貧血」。
残暑が長引く今年は、体力を奪われやすい季節が続きます。だるさや頭痛、集中力の低下など「夏バテかな?」と思える症状が、実は隠れ貧血のサインかもしれません。体と心の不調を見逃さないために、今日からできるセルフチェックとセルフケアのコツを、医師の視点でご紹介します。
まずはセルフチェック!
次の項目に、いくつ当てはまりますか?
□夕方になると強い疲労感を感じる
□顔色が悪いと指摘されることがある
□立ちくらみやめまいをよく感じる
□爪が割れやすい/髪のハリがなくなった
□手足が冷えやすい
□集中力が続かない/気分が沈みやすい
2つ以上当てはまった方は、隠れ貧血の可能性があるかもしれません。
気になる方は生活習慣の見直しとともに、医師に相談することをおすすめします。
「隠れ貧血」とは?数字に出にくい女性の不調
健康診断で「血色素(ヘモグロビン※1)」の値が正常でも、体の鉄が不足して「貯蔵鉄(フェリチン※2)」が低下している場合があります。これを「隠れ貧血(潜在性鉄欠乏症)」と呼びます。特に女性に多く、次のような症状を招くことがあります。
※1:ヘモグロビン:血液中で酸素を運ぶタンパク質
※2:フェリチン:体内で鉄を貯蔵する役割を持つタンパク質
●朝起きても疲れが取れない
●頭痛やめまいがある
●集中力や気分が落ち込みやすい
●髪や爪のトラブルが増える
血液検査では異常が出にくく、長く見逃されやすい点が特徴です。
特に今年の9月は、例年以上に残暑が厳しくなる可能性が指摘されています。大量の汗で鉄分やミネラルを消耗したうえに、冷房による冷えや食欲不振で栄養が偏りがち。そこへ残暑が追い打ちをかけることで、隠れ貧血のサインが出やすくなるのです。
特に女性は月経による鉄の損失も重なるため、知らず知らずのうちに鉄不足に陥る可能性が高くなります。
放置すると「鉄欠乏性貧血」へ
隠れ貧血をそのままにしておくと、やがて鉄欠乏性貧血(一般的に言う貧血)に進行する恐れがあります。
この段階になると、
●強いだるさや疲労感
●動悸・息切れ
●めまいや立ちくらみ
●集中力の低下や気分の落ち込み
などの症状がより顕著になります。
心臓や脳への酸素供給にも影響するため、生活の質を大きく損なうリスクが高まります。
医師がおすすめする簡単セルフケア
阿保院長が提案する、隠れ貧血を防ぐための生活習慣の工夫をご紹介します。
1.鉄分を意識した食事を!
赤身肉・レバー・魚介類・大豆製品などをバランスよく。特に体内での利用効率が高い「ヘム鉄」(肉や魚に多く含まれる)は意識して摂取したい栄養素です。ビタミンCを一緒に摂ると吸収率が高まります。
例えば、
●朝食には、アサリとほうれん草を使ったお味噌汁や、納豆に刻んだトマトを添えて。忙しい朝でも、手軽に鉄とビタミンCを同時に摂れる組み合わせです。
●昼食には、レバーとピーマンの炒め物や、ひじきと大豆の煮物に柑橘系のフルーツをプラスして。お弁当にも入れやすく、外食が続く方にもおすすめ。
●夕食には、赤身肉のステーキやローストビーフに彩り豊かなパプリカやブロッコリーのサラダを添えて。鉄とビタミンCを一緒に摂れる王道の組み合わせです。
このように「どの食事でどの食材を組み合わせるか」を意識すると、毎日の食卓で無理なく鉄分補給が可能になります。
2.疲労回復を助けるビタミン群を補給
エネルギー代謝にはビタミンB群や亜鉛が不可欠です。また、鉄だけでなく、カルシウム・マグネシウムなども含めた「マルチビタミン&ミネラル」のサプリメントなどを活用することで、栄養のバランスも整い、体全体の調子をサポートできます。
3.冷え・運動不足を避ける
軽いウォーキングやストレッチで血流を良くすることも大切です。血液の循環が改善されることで、鉄や栄養素、酸素が全身に届きやすくなります。
隠れ貧血は、見逃されがちな不調の原因のひとつ。放置せず、自分の体の声に耳を傾け、セルフチェックを活かしながら、日常の食事や生活習慣を少しずつ整えていきましょう。
北青山D.CLINIC阿保義久院長プロフィール
1965年青森県生まれ。東京大学医学部医学科卒業。2000年に北青山Dクリニック(現:北青山D.CLINIC)を設立し、外科医としてのスキルを生かして日帰り手術を発案したほか、病気を作らない予防医療、治癒が可能な段階で早期発見するための人間ドック、生活の質を高めるアンチエイジング療法、進行がんに対する革新的治療まで、質の高い医療サービスの提供にも精力的に取り組む。「医療にイノベーションを」を理念に掲げ、理想的な医療環境の構築にも励んでいる。著書には『アンチ・エイジング革命(講談社)』、『下肢静脈瘤が消えていく食事(マキノ出版)』、『尊厳あるがん治療(医学舎)』、『コロナの時代のアンチエイジング』などがある。
クリニックURL:https://www.dsurgery.com/
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