【医師解説】夜ふくらはぎがつるのは危険信号! 放置すると揺らぐ、脚の美と健康

2025.10.06

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「Dr.Aboが教える!“死ぬまで元気で美しく”を叶えるコラム」
本連載では、北青山D.CLINIC院長の阿保義久先生が、忙しい現代女性の健康と美を守るヒントをお届けします。

vol.8のテーマは、季節の変わり目にも多い「こむら返り」。
夜中にふくらはぎが突然つって目が覚める…そんな経験をした方も少なくないでしょう。背景には血流の滞りや冷え、そして体内のミネラルバランスの乱れといった要因が隠れています。今回はその仕組みと、予防につながるセルフケアを医師の視点で解説します。

 

あなたの美しい脚を守るために…こむら返りの基本知識

 

「夜中にふくらはぎが突然つって、激しい痛みで目が覚める…。」そんな経験をしたことはありませんか?これがいわゆる「こむら返り」です。こむら返りは、ふくらはぎの筋肉が突然強い収縮を起こし、激しい痛みを伴う痙攣現象。医学的には「有痛性筋痙攣(ゆうつうせいきんけいれん)」と呼ばれ、夜間や就寝中に起こりやすいのが特徴です。

 

筋肉の動きには「収縮(しゅうしゅく)=縮む」と「弛緩(しかん)=緩む」の二つの仕組みがあります。

 

●カルシウム:筋肉を縮めるアクセル役

●マグネシウム:縮んだ筋肉をゆるめるブレーキ役

 

このバランスが取れてこそ、筋肉はスムーズに働きますが、マグネシウムが不足するとブレーキが効かず、筋肉が硬直したまま痙攣=こむら返りを起こすのです。さらに、筋肉を動かす神経の信号も関係します。ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウムといった「電解質」の働きが乱れると、信号伝達にエラーが生じ、必要以上の収縮を招きやすくなります。

 

加えて秋は、朝晩の冷え込みで血流が悪化しやすく、さらに、夏からミネラル不足が続いていたり、水分摂取量も減ってしまうため、こむら返りが起こりやすい季節といえます。





 

あなたも要注意?セルフチェック!

次のような症状や生活習慣に当てはまる方は、こむら返りが起こりやすい状態かもしれません。

 

□夜、ふくらはぎがよくつる

□夕方になると脚がむくんでだるい

□足先の冷えやしびれを感じる

□野菜・海藻・ナッツなどをあまり食べていない

□便秘や不規則な生活が続いている

 

2つ以上当てはまる方は、血流トラブルやミネラル不足のサインの可能性があります。小さな違和感のうちに、早めに生活習慣を見直してみましょう。



 

医師がすすめるセルフケア

阿保院長が提案する、日常に取り入れやすい予防と改善の方法をご紹介します。

 

1. 就寝前の足首運動

 

布団に入る前に数分間、足首を上下にゆっくり動かしてみましょう。ふくらはぎの筋肉がポンプのように働き、血流をスムーズにしてくれます。夜間のこむら返り予防に効果的です。

 

2. 入浴で筋肉と血管を温める

 

38〜40℃のお湯に10分ほど浸かることで、筋肉の温度が上がり血流が改善されます。冷え性の方は足湯や半身浴もおすすめです。シャワーだけで済ませず、しっかり温めることがポイントです。

 

3. 食事で血管と筋肉をサポート

 

食事は、筋肉だけでなく血管と血液を整え、こむら返り予防にも大きな力を発揮します。「忙しくて、食事だけでは十分な栄養素が摂れない!」そんな方にはサプリメントの併用も有効です。特に注目したいのが次の栄養素です。

 

●ビタミンP

そばやホウレンソウに豊富なルチン、柑橘の皮や筋に多いヘスペリジンは、血管をしなやかに保ち、毛細血管の強化に役立ちます。血流をスムーズにし、中性脂肪やコレステロールの改善にも有効とされています。

 

●ビタミンA・C・E

アボカドやカボチャ、ナッツ類に含まれる抗酸化ビタミン。強力な抗酸化作用で活性酸素から血管内皮を守り、弾力を維持します。特にビタミンCはコラーゲン合成を助け、血管壁そのものを丈夫に保つ働きがあります。

 

●EPA・DHA

イワシやサバなどの青魚に多く含まれる必須脂肪酸であるEPA・DHAは、体内でほとんど作ることができません。血液をドロドロにする血中のコレステロールを減らすとともに、血液中の固形成分である赤血球をやわかくして、細い血管まで血液を流れやすくしてくれます。

 

●硫化アリル

玉ねぎやにんにく、ニラなどに含まれる硫化アリルは、血栓の形成を抑えて血液をさらさらにするとともに、末梢血管を拡張して血液循環を改善する働きもあります。

 

●マグネシウム

海藻・豆類・ナッツ・緑の葉野菜に豊富で、カルシウムと拮抗しながら筋肉をゆるめるブレーキ役。不足すると痙攣を起こしやすくなるため、特にこむら返り予防に欠かせません。

 

「血管を守る・酸化を防ぐ・血流を整える・筋を緩める」という4方向からの栄養サポートが、夜の足つり対策に直結します。



 

まとめ

夜のこむら返りは、単なる筋肉の疲れではなく、体が「血流と栄養のバランスを整えてほしい」と発しているサインです。

 

特にマグネシウム不足は筋肉のブレーキを弱め、痙攣を誘発します。運動・入浴・食生活の見直しを組み合わせることで、こむら返りは予防・改善が可能です。小さな工夫で快適な眠りと健やかな脚を取り戻しましょう。



 

北青山D.CLINIC阿保義久院長プロフィール


 

 

 

 

 

1965年青森県生まれ。東京大学医学部医学科卒業。2000年に北青山Dクリニック(現:北青山D.CLINIC)を設立し、外科医としてのスキルを生かして日帰り手術を発案したほか、病気を作らない予防医療、治癒が可能な段階で早期発見するための人間ドック、生活の質を高めるアンチエイジング療法、進行がんに対する革新的治療まで、質の高い医療サービスの提供にも精力的に取り組む。「医療にイノベーションを」を理念に掲げ、理想的な医療環境の構築にも励んでいる。著書には『アンチ・エイジング革命(講談社)』、『下肢静脈瘤が消えていく食事(マキノ出版)』、『尊厳あるがん治療(医学舎)』、『コロナの時代のアンチエイジング』などがある。 

 

クリニックURL:https://www.dsurgery.com/



 

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