抜けない疲れは、寒さのせい? 2月に体が回復しにくくなる本当の理由

2026.02.09

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最近、なぜか疲れが抜けない。花粉のせい? 寒さのせい? それとも年齢のせい?2月になると、毎年同じような不調を感じる方も多いのではないでしょうか。実はこの時期の体では、単なる季節の変化では片づけられない、ある特徴的な状態が起きています。

それが、すでに起きている炎症が長引きやすく、回復しづらい体内環境です。

冬の寒さが残るなかで花粉の飛散が始まる2月。体の中では、目には見えない負担が静かに重なり合っています。今回は花粉症を入り口に、なぜこの季節に疲れや不調が長引きやすくなるのかを、医師の視点からやさしくひも解いていきます。

花粉と寒さが重なると、体はどうなる?

花粉症は、体が花粉を異物と判断し、免疫が過剰に反応することで起こる炎症反応です。鼻水や目のかゆみといった症状が目立ちますが、実際にはそれだけにとどまりません。体の内側では炎症に関わる物質が放出され、免疫系は常に刺激を受けた状態が続いています。

花粉が飛散している間は、炎症の原因そのものが存在し続けるため、症状を完全にゼロにすることは難しく、薬物療法や物理的な花粉除去などでコントロールしながら過ごす期間が続きます。

そこに重なるのが、2月特有の寒さです。

寒さを感じると、体は熱を逃がさないよう血管を収縮させます。その結果、全身の血流は低下しやすくなります。血流が滞ると、炎症によって傷ついた組織の修復や老廃物の排出、さらには回復に必要な栄養や酸素の運搬までもがスムーズに行われにくくなってしまいます。

つまり2月の体内では、花粉症という慢性的な炎症刺激(花粉症そのものは「慢性炎症性疾患」と分類されています)が続く一方で、寒さという環境要因によって、その炎症を収束させるための血流や代謝が低下しやすくなります。その結果、すでに存在する炎症が「長引きやすい」「抜けにくい」状態が生まれやすくなるのです。

炎症が「残りやすい体」が、疲れを長引かせる?

慢性炎症があると、体は常に修復モードで働き続けます。免疫細胞は休むことなく活動し、炎症への対応にエネルギーが使われ続けるため、本来であれば回復や再生に使われるはずの力が、消耗のほうへ回ってしまいます。

その結果、十分に眠っているはずなのに疲れが抜けない、体が重く感じる、集中力が続かない、気力が湧かないといった状態が起こりやすくなります。「花粉の季節だから仕方ない」「寒い時期だから仕方ない」と感じている不調の裏側には、体の回復力が追いついていない状態が隠れていることも少なくありません。

回復力を高める鍵は、栄養と巡りにある!

炎症を無理に抑え込むことよりも、炎症のあとに体がきちんと立て直せるかどうか。その土台となるのが、日々の栄養状態です。

炎症が起こったあとの体では、想像以上に多くの栄養素が消費されます。傷ついた組織を修復するためのたんぱく質、回復エネルギーを生み出すビタミンB群、免疫反応のバランスを整えるマグネシウムや亜鉛、そして炎症時に増える酸化ストレスから体を守る抗酸化栄養素などが、その代表です。

しかし、栄養を意識するだけでは十分とは言えません。寒さによって血流が落ちやすい2月は、どれほど良い栄養を摂っても、それが体のすみずみまで届きにくい状態になりがちだからです。

だからこそ大切なのが、「巡り」を意識した生活です。体を冷やしすぎないこと、湯船に浸かって血流を促すこと、長時間同じ姿勢を避け、軽く体を動かすこと。こうした日常の積み重ねが、栄養が正しく使われる環境を整えてくれます。

花粉シーズンに「例年より疲れやすい」「回復が遅い」と感じる背景には、炎症そのものだけでなく、こうした栄養と巡りのバランス低下が重なっているケースも多く見られます。

不調は「弱さ」ではなく、立て直しの合図

慢性炎症は病名がつく状態ではありません。そのため見過ごされやすく、「少し無理をすれば大丈夫」と頑張り続けてしまう方も少なくありません。

花粉、寒さ、年始からの生活ストレスが重なる2月は、体がもっとも回復力を試される季節です。この時期に意識したいのは、体を冷やしすぎないこと、食事量を極端に減らさないこと、そして回復に必要な栄養が足りているかを見直すことです。

続く疲れや重だるさは、体が発している「そろそろ整えてほしい」というメッセージ。炎症が起こること自体は、体を守るための正常な反応です。大切なのは、そのあとにきちんと回復できる環境を整えているかどうか。

この春はぜひ、「症状を抑える」という視点だけでなく、「回復力を支える」という考え方を取り入れてみてください。

北青山D.CLINIC阿保義久院長プロフィール

1965年青森県生まれ、東京大学医学部医学科卒業。2000年に北青山Dクリニック(現:北青山D.CLINIC)、2004年2月に医療法人DAPを設立。外科医としてのスキルを生かし、下肢静脈瘤・鼠径ヘルニア・体表腫瘍などを対象に、約43,000件以上の日帰り手術を担当(2026年1月末時点)。加えて、再生医療・精度の高い人間ドック・病気の発生を未然に防ぐ予防医療にも精力的に取り組み、「医療にイノベーションを」を理念に掲げて、患者のニーズに応える理想的な医療環境の構築にも励んでいる。著書には『アンチ・エイジング革命(講談社)』『下肢静脈瘤が消えていく食事(マキノ出版)』『尊厳あるがん治療(医学舎)』『コロナの時代のアンチエイジング』などがある。 

 

クリニックURL:https://www.dsurgery.com/



 

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